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GunZ&SworD  作者: 聖庵
147/185

シーン 147 / 登場人物紹介 12

【登場人物紹介】


堀井ユエ


ホリンズの姉で、サフラの祖母。

ある事件をきっかけに、姿がドラゴンに変わってしまい、ウェアウルフの里に隠れ住んでいる人物。

身体がドラゴンに変わった影響から、“ホスピタル”と呼ばれる建物の外に出来ることができない。

彼女が放つ気配は、ウェアウルフの天敵であるエントを近づけない効果を持っている。

ウェアウルフたちは彼女の事を“主”と呼んでいる。

サフラは、このペンダントを風呂と就寝時以外は常に身に着けている。

大きさも小石ほどあり、涙型のペンダントトップはシンプルながら洗練されている。

澄み渡った空を思わせる青色は目にも鮮やかだ。

彼女はこれを毎日見ることで、村で過ごした日々を忘れないようにしている。


「…そうでしたか。そのペンダントはアナタに受け継がれたのですね」

「ユエさんはこれを転生の時に貰ったと言いましたが、まさかこのペンダントは…」

「えぇ、察しの通り、オリハルコンの結晶です。しかし、そのペンダントは人の手に余るもの。使い方を誤れば身を滅ぼすことでしょう」

「教えてください、このペンダントは願いを込めれば、思い描いた姿を変える事ができるのですか?」

「えぇ…持ち主の感情に呼応して姿を変えます。そうですね…一度試してみるといいでしょう」


サフラはユエに促されペンダントに願いを込めた。

すると、ペンダントは強く光を放ち、一振りの短剣に姿を変えた。

それは、普段から彼女が愛用するスティレットと同じ形状だ。


「…ペンダントが短剣になっただと!?」


アルマハウドは目の前で起きた変化に驚いている。

僕もこの変化には驚いてしまった。

このペンダントは僕の持っている銃とは違い、アクセサリーから短剣と言う、まったく別の形に姿を変えたからだ。


「やはり、そのペンダントはアナタを選んだのですね。ですが気を付ける事です。過ぎた力は人を変えてしまう。そう、かつての私のように…」

「…不思議。この子からお婆ちゃんの想いが伝わってくる。でも、なんでだろう…」

「想い…ですか。これは転生の時に聞いた話ですが、オリハルコンは稀に“思念”を宿す事があります。私はそのペンダントを手放す直前、弟や家族を守りたいと強く願っていました。おそらく、その想いが残っていたのでしょう」

「オリハルコンに想いが宿る…。そんなことが…」


オリハルコンには僕がまだ知らない能力が隠されているのだろう。

サフラは、手にした短剣を素早く振り感触を確かめている。

実際、僕の銃と同じ物だとすれば重さを感じないはずだ。

よく見れば、いつもよりも素早い突きが繰り出されている。


「不思議…この子、凄く軽いの。こんな短剣初めてだよ」


思った通り重さをほとんど感じないようだ。

この特徴は僕の銃と同じだった。


「オリハルコンは使用者の想いを具現化するモノ。つまり、それはアナタが望んだモノなのです」

「そうなんだ…。じゃあ、レイジの銃と同じだね。でもどうしょう…一度に三本も使えないよ?」


サフラはすでに二刀流のために新しく短剣を新調したばかりだ。

つまり、今の状態では一本余ってしまう事になる。

それを見たニーナはサフラに耳打ちをして何かを告げた。

サフラはそれを聞くと、半信半疑になりながら短剣に想いを込めた。

すると、今度は手の中に細身の長剣が現れた。

先端に向かって細く鋭くなる刀身は、突き刺し用のスティレットを大型化したイメージだ。

片手でも扱えるが、両手でも使えるよう柄が長くなっている。


「…エストックか。なるほど、そう言うことか」


アルマハウドは何故か一人で納得している。

サフラにアドバイスをしたニーナもそれを見て満足げに笑みを浮かべた。


「凄い…こんなに大きな剣なのに重くない。不思議…」


サフラは片手で剣を軽々と振り回している。

通常のエストックなら、いくら細身の刀身とは言え、彼女の腕力では持て余すだろう。

元々、彼女がスティレットを愛用していたのは、弱点である非力を補うためだ。

もちろん、人並みに長剣を振るう力があれば、武器選びも変わっていただろう。

ニーナはその点に着眼し、アドバイスをしたようだ。

エストックの利点はスティレットよりもリーチが長いこと。

今までのように、手が届くほどの距離にまで接近する必要がなく、立ち回り方も大きく変わってくる。

これにサフラの素早さが加われば、ニーナの実力を軽く上回るだろう。


「そのペンダントは少し特別なのです。通常、オリハルコンは決められた範囲の中でしか形を変える事ができません。しかし、それは何にでも姿を変えられるのです。ですが、注意しなければいけないのは、相応のエーテルを消費するということ。身の丈にあったモノでなければ、あっと言う間にエーテルが底を尽きるでしょう」

「じゃあ、それはどの程度まで可能なんです?」

「それは使用者の資質によって違います。私の場合、その気になれば、ペンダントをこの神殿と同じ程度の建物に姿を変える事もできました。もちろん、試した事はありませんけどね」


つまり、使用者のエーテルが及ぶ範囲ならば、何にでも姿を変える事ができるらしい。

ユエの話では、サフラが潜在的に持っているエーテルの資質は、並みの人間と比べても高いようだ。

ユエから四分の一の資質を受け継いでいるのが大きいらしい。

それでも、身体を流れるエーテルを見たところ、素質は僕より劣るようだ。

しかし、単純にエーテルを生産する能力が高くても、願いをイメージする力や応用力がなければ宝の持ち腐れになってしまう。

彼女はその面で僕よりも秀でている。


「たぶん、私はこれくらいの大きさの物なら、身体への負担はほとんどないみたい」

「だけど、あまり無理はするなよ?何が起こるかわからない」

「うん、気をつけるね」

「…話が盛り上がっているところすまない、邪魔をする」


振り向くと入口にビルが立っていた。

断って入ってきたところを見ると、僕らに気を使っているようだ。

どちらかと言えば、主と呼ぶユエに対してだろうか。


「どうしました、ビル。少しエーテルが乱れているようですね」

「…里の外でエルフに出会い、レイジたちを差し出せと迫って来ました。ユエ様、いかがいたしましょう?」

「相手の要望は聞きましたか?」

「はい、エントを倒した者に用があるとの事でした。内容如何ではエルフの里に案内したいそうです」

「…そうですか。しかし、それを決めるのは私の役目ではありません。彼らの意思を尊重しましょう。アナタはどう思いますか?」


ビルの話を聞く限り、エルフはエントを倒した僕に用があるらしい。

ビルはあまり浮かない顔をしていたため、エルフの事を快く思っていない様子だ。

それでも、ユエは普段と変わらない落ち着きがあったため、説明を聞いた限りでは心配をしていないのだろう。

僕らに意思を委ねたと言う事は、危険がないと見てよさそうだ。


「ビル、そのエルフたちの元に案内してくれ。直接話をつける」

「…わかった。だが、くれぐれも注意するんだ。相手は他でもないエルフなのだから」

「わかってるよ」

「…ビル、アナタも彼らに同行しなさい。困ることがあれば手助けをするのです。アナタが説得すればエルフたちも納得するでしょう」


ユエの命令とあればビルは断れないのだろう。

彼は二つ返事で引き受けた。

彼も経験的にユエがどのような反応をするのか把握していたらしい。

彼に声をかけたエルフは里のすぐ外で待機していた。


「…ほぉ、思ったよりも数が多いな。それで、エントを倒したヤツはどいつだ?」


目付きの鋭いエルフの男が僕らを睨んでいる。

エルフは人間よりも遥かに長命のため、実際の年齢は想像がつかない。

実年齢を気にしなければ、外見から受ける印象は二十代の前半と言ったところか。

エルフ特有の横に伸びた長い耳さえなければ、体格は人間とほぼ同じだ。


「俺だ」

「…お前か。へぇ…見た目は弱そうだな。本当にエントを倒したのか?」

「初対面なのに随分と態度がデカイんだな。それがエルフの流儀か?」

「フンッ…人間相手にはこれくらいでちょうどいい。それにしても…まさかドワーフまで居るとは思わなかったぞ」

「随分と若いエルフだな。口が悪いのもそのためか?」


コルグスは皮肉を込めてエルフを見詰めている。

ドワーフもエルフに対してあまり良いイメージは持っていないらしい。

そもそも、彼らと交流があったのはかなり以前のことだ。


「おっさん、アンタは何で人間と一緒に居るんだ?まさか、人間と手を組んで俺たちを滅ぼしに来たのか?」

「バカを言え。我々は平和を好む種族だ。それに、人間は好戦的なヤツらばかりではない。コイツがそのイイ例だ」

「確かに、俺は始めて人間を見たが、聞いていた情報とはまるで違う。本当にお前たちは人間か?」

「断っておくが、俺たちは争いに来たんじゃない。協力を求めに来たんだ」

「協力?」

「あぁ、お前たちの力を借りたい」


エルフは僕の言葉に興味を持ったらしい。

過去にエルフと戦った事のあるアルマハウドは、僕らのやり取りを静かに眺めている。

それでも、何かあればすぐに迎え撃つ気らしい。

その気になれば大剣を抜いてそのまま斬りかかりそうだ。

僕は彼に横目で合図を送って制止を求めた。


「…話を聞こう。内容によっては聞き入れない事もない」

「その前に自己紹介が先だろう?俺はレイジだ」

「…ニコラだ。それで、協力と言うのは?」


ニコラと名乗ったエルフは腕を組み僕の説明に耳を傾けた。

そして、話が進むに連れて彼の表情が徐々に曇っていった。

話が終わった頃には拳を強く握り締め、小刻みに肩が震えていた。


「…それは本当か!?あのローブの男なのか!!」


ニコラは感情を爆発させて怒りをあらわにした。

彼が怒りを覚えたのはホリンズの名前と特徴を出した時だ。


「お前、ホリンズを知っているのか?」

「知っているも何も、ヤツは俺の父を殺した張本人だ!王家の証である指輪も奪われた」

「指輪?まさか、“沈黙の指輪”か!?」

「貴様、何故それを?」

「そうか、お前はエルフの王子か!?」

「…何故俺が王子だとわかった?」


ホリンズは沈黙の指輪をエルフの王から奪ったと話していた。

そのため、彼が父と表現した人物が国王だと容易に想像がついた。


「ホリンズが指輪を所持していたのはエルフの王だと言っていたからな。そうか、ヤツはお前の父親を手にかけたのか…」

「…父だけじゃない!多くの仲間がヤツに攫われた。それに、ヤツの元から戻ってきた仲間は、醜い化け物に変わってしまったんだ!!」


ニコラが握り締めた拳から微かに血が滴っている。

怒りを何とか抑えようと我慢しているのがわかった。

それだけホリンズに対する怒りや悲しみが大きい事が伺える。

久しぶりに新キャラの紹介が入りました。

ニコルの紹介は改めてします。




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