後ろに
「「怖い話聞きたくない?」
「いきなりだな。まぁ、聞こうか」
「ビビってトイレに行けなくなるぜー」
「んなわけあるか、さっさと始めろ」
「わかったよ。・・・むかしむかし、あるところにおじいさんとおば」「ちょっとまてや」
「なんだよ?」
「ただの昔話じゃねーか!」
「・・・あー、今の話はなし。あれは今度の発表会のやつだわ。忘れてくれ」
「発表会ってなんだよ?」
「忘れてくれ、では改めて。俺が中学生のころだった。部活の先輩が家に帰る途中に、後ろから物音がしたんだって」
「誰か歩いてたんだろ」
「いや、普通の足音じゃなかったらしい。なんかこう、べちゃっとした音だったらしい」
「べちゃ?」
「そう、べちゃ。気味が悪くなった先輩は早足で帰ることにしたんだって。でも、その音はまだ聞こえる。心なしかスピードも上がっているような気がしたらしい」
「ふむ、それで?」
「とにかく怖くなってダッシュし続けたら、カーブミラーが視界に入ったそうで、その鏡に・・・」
「・・・鏡に?」
「・・・忘れた」
「は?」
「なんかぽっかりと抜け落ちてるんだよね。なんでだろ?」
「そんなこと知るか。とにかく思い出せ」
「うーん、それよりも」
「なんだよ」
「さっきから後ろの方から変な音してない?」
「変な音?・・・そういえば、べちゃって音が・・・」」
「・・・で、この話の落ちは?」
「さぁ?『この話を最後まで聞くと死ぬ』っていう話だしね。用意されてないんじゃない?」