12話 自分の自分
永野優
本作の主人公。
音無紅寧
永野優の彼女で幼馴染。大人びた性格の持ち主。
黒沢海斗
優の幼馴染で親友。いつも優とふざけあっている。
藤宮雫
海斗の一つ下の彼女。紅寧を尊敬している。
霜月雪乃
転校してきた謎多き少女。
杉山海凛
超能力者保護機構の頭。
「僕が思う『未来』か、難しいな」
優は椅子にもたれかかった。そして、ノートを開いて書き始めた。ノートには『特別ではない、かけがえのない日常、紅寧がいる世界』など書いた。翌日になり家に松本が家に来た。
「次の訓練するからついて来い」
「今日って休みじゃないんですか?」
「そんなの関係ない、早くついて来い」
「はい、わかりました」
優は落ち込みながらもしたくをして2人は玄関に止めてある車に乗って出発をした。
「昨日渡したノートを見せろ」
「はい、わかりました」
優は松本にノートを渡した。松本はノートを開き読みながら言った。
「これからはその日何をして何が起きたのかを全てそのノートに自由に書け」
「わかりました」
松本は優に終わったノートを優に渡した。
「ここからは機密事項だからヘッドホンと目隠しをしてもらう」
松本は優にヘッドホンと目隠しを渡した。
「何故ですか?」
「いいから早くつけろ」
優は少し不満な顔を見せながらも目隠しとヘッドホンをした。しばらくして優は寝落ちした。
「おい、早く起きろ。ついたぞ」
「寝起きのせいか頭痛がする」
優は頭が痛そうに言った。そして目隠しとヘッドホンを外した。
「いいから早く出ろ」
松本は優が座ってる空いた窓から言った。
「わかりました」
優は車から出た。目の前に見た光景は何かの鼻を突く消毒液の臭いと、低く響く機械の稼働音。優は、自分が『人間』としてではなく『検体』として扱われているような錯覚に陥っただった。
「ついて来い」
「ここは何の施設何ですか?」
「詳しくは話せないが、ここはいわばシミュレーションゲームみたいな事が出来る施設だ」
「シミュレーションゲームみたいな事が出来るってどう言う事ですか?」
「やってみればわかるよ」
2人は施設に入り部屋に入った。その部屋にはベッドと変な装置があった。装置の横には人がいた。
「今日はこの装置を使って訓練をするからあとの事はそこにいる岩瀬から説明がある。あとは頼んだ」
「わかりました」
松本は部屋を出た。
「それでは今から自分の弱さを克服する訓練です。それではこの装置をつけてベッドに横になってください」
「わかりました」
岩瀬は頭に付ける装置を優に渡した。優はその装置を受け取り頭につけて横になった。
「そのまま、目を瞑ってください」
優は指示通りに目を瞑った。
「それでは起動します」
装置が起動した。途端に優は暗い部屋に倒れいた。
「おい、起きろよ。永野優」
「何?なんか聞こえる」
寝ぼけながら言った。
「早く起きろよ」
声の主は優のお腹を蹴った。優は腹を抱えて痛そうにした。
「お前誰だよ」
優は見上げた瞬間見上げた先にいたのは、自分と同じ顔、同じ声。だがその瞳だけは、自分にはない冷徹な濁りを帯びていた。そいつは、優がノートに込めた希望を嘲笑うように、ゆっくりと口角を上げた。
「やっと起きたか、クズが」
「もう1人の僕?」
「あぁ、そうさ。僕は君で君は僕。それよりお前は最低な奴だな。女1人救えなんてな」
「僕だって紅寧を救いたかったさ。だけど」
「だけどじゃない。女1人救えない男なんて女を守資格はないし、その能力もいらない」
「だから能力を使ってやり直せば紅寧を救える」
「能力を使える様になったのは偶然だろ。偶然、紅寧が死んでそこで偶然、能力が発現しただけだろ?」
「…っ!?」
図星だった。喉の奥が熱くなり、優は言葉を失う。
「運が良かっただけのお前が、『救う』なんて言葉を吐くなよ」
「この能力が偶然だったとしても僕は」
「紅寧の死を利用してヒーローごっこがしたいだけじゃないのか?」
「それは違う、違うんだ…ただ僕は…」
優は四つん這いになりながら床を叩いた。
「何が違う?違わないだろ。ノートに書いた『紅寧との幸せ』も紅寧の死の上に乗っかっているだけの妄想だろ?吐き気がする自分自身にさ」
「確かに紅寧の死がなければ僕の能力の発現はなかった。だけど、この能力がなければ紅寧を救えないし大切な人を守る事も出来ないから僕にはこの能力が必要なんだ」
優はそのまま意識を失った。
「僕よ、そのままでいい。もう1人の君は紅寧を救える事を願ってるよ」
ここまで読んでいただきありがとうございます。優の能力発現の裏にある「罪悪感」を抉り出す回となりました。最後のもう一人の自分の言葉……あれは優の弱さなのか、それとも本心なのか。 この「自己克服訓練」を経て、優の決意がどう形を変えていくのか。次回の展開もどうぞお楽しみに!




