ヒロインの姉の悪役令嬢に転生したけど〜推しと一緒にいれるのは最高では?〜
「ミレー?ミレー?」
と呼びながら声をかけてくるのは、父、そう、父、、のはずだ。
あれ、おかしい、私は誰だ、いや、私はミレイアだ、あれ、私は美玲で、あれ?
顔を上げると目に入るのは、とこぞの高級ホテルだと言わんばかりの豪華な壁、そして、銀髪で青い瞳のふわふわとした雰囲気の少女がこちらを心配した表情で見ている。
そして、顔を上に向けると見えるのは豪華なシャンデリアと少女と同じで銀髪に青い瞳の男性だ。
この人は父のはずだ、あれ?ふと目に入った自分の髪色は赤色だった。
私は日本人で普通の黒髪だったはず、そして、ふと思い出す、目の前にいる少女に見覚えがある。
確か、乙女ゲームの主人公がこんな見た目だった気が。
さぁー、っと血の気が引き、視界がブラックアウトした。
、、、、、、、、、、
「お、お姉様?」
と顔を覗き込んでくる、青い瞳に一瞬ビクッとする。
そして、起き上がると同時に
「ごめん!」
と言う。
うぅ、推しに酷い態度取っちゃった、家族が死んで悲しい時のはずなのにぃ、、、、うぅ。
すぐに後悔が襲ってくる、混乱していたとしても、傷つけたはず、ファン失格だぁ〜。
そう、この世界は私が推していた乙女ゲームの世界だった。
そして、私が転生したのは推しの主人公をいじめる義姉役で悪役のミレイアだった。
でも、まあ、推しに危害を加える前に記憶が戻って本当に良かった。
もし記憶が戻らずに酷いことしてたら、、、、。
「お姉様?」
と再度声を推し──ルシアがかけてくる。
「あぁ、うん、大丈夫、、心配してくれてありがとう!」
と、元気な声で返事する。
推しに心配をかけるなんてファン失格だからね!
「そっか!良かったぁ〜」
と笑顔でルシアが言う。
うぅ、推しの笑顔を至近距離で見れるとか、最高かよ、今が人生で一番幸せだわ。
、、、、、、、、、、
それから数年、、、
「結婚おめでとう!お姉様!」
と、元気な声で祝福してくれる妹。
「幸せになりなさい!ミレー」
と、言う母。
「ついに、ミレーも結婚か、寂しくなるなあ」
と、言う父。
しみじみ、ここ数年が懐かしい。
急に来た妹が、父の私生児だと思い込んだ母が、何かしそうになるたびに止めに入り。
母に家の格が落ちるといい。
私生児の原因は父なのだから、ルシアに当たるのはお門違いだと諭した。
そして、上手く、父がルシアが駆け落ちした兄が残した子だということを喋っているところに母を誘導したり。
その後、母がルシアと上手く行くようにサポートしたりと、忙しかった。
そのおかげか、ゲームには存在しなかった、後継の弟まで生まれた。
私も学園に行き、他の侯爵家との縁談が来て、いい感じになり。
そして、今日に至るわけだが、本当によく頑張った。
この数年間で、ルシアは推しと言うより、妹だと思えるようになった。
それでも、可愛いのは変わりないのだが。
「ミレー!」
と呼ぶのは恋人、いや、今日、夫になる人だ。
「アレクシス!」
と返事をすると嬉しそうに駆け寄ってきて家族に挨拶する。
すると妹は、
「お姉様のこと泣かせたりしたら許しませんからね!幸せになってください!」
と祝福してくれた。
ああ、本当にこの世界に転生して良かった!!!!