天下統一エージェンシー初陣
渋谷の雑居ビル。天下統一エージェンシーのオフィスは、壁に剥がれかけたペンキ、ギシギシ鳴る床、窓から漏れるネオンの光でなんとか雰囲気を保っていた。看板の「天下統一」は家康の力強い筆跡で書かれ、事務所の魂ともいえる存在感を放つ。だが、中の様子はカオスそのものだ。
太郎はノートパソコンを叩きながら、「やべえ、Wi-Fiまた切れた!」と叫び、元ヤンキーの新人・剛(22歳、通称ゴーちゃん)は床に寝転がってスマホでTikTokをスクロール。クリエイティブディレクターの山田花子(25歳)は、ホワイトボードに「次、どんなキャンペーン?」とマーカーで殴り書きしつつ、「太郎、マジで次のクライアント探、いつ決まるの?この事務所、潰れる前に仕事取らないとヤバいよ!」と嘆く。
そこへ、ドカッとソファに座る徳川家康(見た目70歳超、本人は「齢など戦の数で測れ!」と主張)。I♥TOKYOのTシャツの上にスーツのジャケットを羽織り、片手にコンビニの抹茶ラテ。「ふむ。この『クライアント』とやらは、民の信頼を得ねばならぬ。戦国の世なら、城を落とす前にまず領民の心を掴む。太郎よ、松月堂の勝利を旗印に、次なる城を見定めよ」と言う。
「じいちゃん、松月堂はまぐれってわけじゃないけどさ、次はもっとデカい仕事欲しいよ。じゃないと、家賃払えねえ!」と太郎が頭をかく。すると、花子がスマホを振って叫んだ。「ねえ、松月堂の動画、50万いいね超えた!コメント欄、めっちゃバズってる!『地元の和菓子屋、応援したい!』とか『職人さん、推せる!』って!これ、乗っかって次の仕事ゲットしようよ!」
家康が立ち上がり、ホワイトボードにスッと近づく。「ほう、民の声が集まる場所か。この『SNS』は、戦国の陣太鼓よな。叩けば民が動き、旗が高く上がる。次の戦は、地元の小さな城…いや、店を攻める。だが、今度は我らの名を天下に轟かせるのじゃ!」
その時、ゴーちゃんがスマホを放り投げ、「お!マジすか!地元の和菓子屋、『菊乃屋』ってとこからDM来てますよ!キャンペーンの相談したいって!」と叫んだ。太郎の目がキラリと光る。「菊乃屋!?神田で100年続く老舗じゃん!松月堂と同じ、地元密着型!よし、これだ!」
家康はニヤリと笑い、「ふむ。菊乃屋、第二の旗印としよう。だが、太郎よ。戦は一つ勝っただけで終わるものではない。電王社の動きを警戒せよ。あの黒田龍一、ただ者ではないぞ」と警告。太郎は「まぁ、電王社なんて俺らのちっちゃい事務所、眼中ないでしょ」と軽く流したが、家康の目は鋭さを増した。
こうして、天下統一エージェンシーの第二の戦が幕を開けた。