表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/40

大好きなお兄様を守れなかったバリキャリウーマンの私が幼女に転生したので、次は絶対に大好きなお兄様を守り切ります!!.02

作:アンジュ・まじゅ

絵:越乃かん

「──さん」


 私の意識は宙を彷徨っている。


「有沙さん」


 けれど体はどういう訳か、どこかに寝ているようだ。


「したい?」


 暖かい、お日様の日差しがほっぺたを暖めてくれている。


「復讐、したい?」


 このまま目を閉じていたかったけど、声の主はそれを許さないみたいだ。


「したいでしょ、復讐」


 復讐……?

 私はそんなの、いい。


 せっかく二十七連勤頑張ったんだもん。

 お兄ちゃんが。

 お兄ちゃんが心配。


「あらそう?」


 薄ら目を開ける。

 黄色いリボンを着けた女の子に見える影が、そう言ったように聞こえた。

 なんでだか、とても……綺麗に見えた。


「もったいないなあ。幸せになるための前菜(オードブル)なのにね」


 前菜(オードブル)

 なにそれ。


「まあいいや、またおいでなさいな。生田有沙さん。呼ばれてるわ」


 呼ぶ……誰が?


「貴女を呼ぶ人なんて、一人しかいないじゃない」


 ありさ。

 ありさ──


 それ……それってまさか。


「お兄ちゃ──」


 ……


「おにいちゃん!」


 私は目を開けた。

 ぴりっ。

 いたたっ……

 ほっぺたが痛い。

 そういえば私、トラックに跳ねられて、それで──


「大丈夫かい?」


 誰かが覗き込んでいる。

 逆光で、誰かはわからない。

 ……いや、違う。

 姿は見えなくても、この声は知っている。

 忘れるはずがない。

 だって、この声は今までずっと守ってきた……


「れいおにいちゃん……」

「なんだい、アリッサ」


 そう呼ぶと、私を膝枕していたお兄ちゃんは優しく微笑んだ。

 お日様が暖かい。

 そういえば。


 ……お日様の光を浴びたのは何日ぶりだろう。


「ほっぺを切っているじゃないか……そこのアザミかな」


 そう言ってお兄ちゃんは、ハンカチで私のほっぺたの血を拭いてくれた。

 ()()()お兄ちゃんはなんだか頼もしい。


『したいでしょ、復讐』


 なぜかふと、さっきの女の子の声が頭に浮かぶ。

 それは頭の奥底に張り付いては、離れないのだった。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 新作お疲れ様です!これからの物語を楽しみにしています!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ