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獄門学園〜可憐なる姉妹決戦〜  作者: ワサオ
第四章 再会
43/66

43.暗雲立ちこめる廉

 廉が倒れて、夜が明けて朝になった。目が覚めるとまた、ベッドの上に戻されていた。

 横では聖燐が半目でこちらを見ていた。


「また、私。やってしまったのね……」


 また、自分の意思に反して、暴れまわっていた。どうやっても止める事が出来なかった。

 自制心をどれだけ働かせても、まるで汚染されるように自分が何処かへと消えて行った。何かが起きたのか記憶は全くない。

 でも、祐の事を考えると、少しだけ頭の中の汚染をギリギリで止められた。


「アンタのおかげで、ゴリ──いや、燈もあたしも大怪我を負わずに済んだんだ。気に病むことは無いぜ」

「でも、また何か自分がやらかしそうで怖い。今回は貴方達を守れたから良かったけど、次は分からない。それがとても怖くて自分が自分じゃなくなってしまうのよ」


 聖燐自身も分かっていた。

 あの異様な強さ。いったい何故、一体どこから出ているのか?

 ひょっとこの行動も分からない。

 だが、廉と祐のあの異様な強さになる瞬間、周りの空気含めて、黒いオーラのようなものを感じる。

 それを解明するにはまだまだ自分の理解が及ばない。


「怖くなる気持ちも分かる。だが、それを胸に留めたままなのもダメじゃねぇのか」

「え?」

「アタシはずっと祐と戦い続けて、勝った試しなんてない。でもさ、勝てないと分かっていても、いつか勝てる日が来る。そう思って自分自身を奮い立たせていたんだよ」

「つまり、根性論?ってこと?」

「あぁ、まぁ、そゆことだけど、ちょいと違う。気持ちの持ち用でもあるが、その信念そのもの、そして努力が必要だ。勝ちたい、勝ちたい。でも、勝てない。ならばどうする?訓練だ、妄想だ、特訓だ!」


 と声をあげて拳を何発か突くと壁を思いっきり殴ってしまい、手が赤く腫れ上がった。


「あいたたた!」

「結局は根性論じゃないの」


 廉が落ち着いて言うと、聖燐は手を隠して笑いながら話を終えた。


「あ、はは。馬鹿なりに考えたけど、ダメかな?」

「ダメダメよ。でも、少しだけ元気をもらえたわ。ありがとうね」


 聖燐の言葉や行動から少しだけ元気を貰えた。

 それでも、自分自身のコントロールが効かない事には頭を悩ませる。

 それに祐が今何をしているのか、やはり心配になっていた。

 捕まってから数日間もここに居て、祐がどうなったのか、一切分からなかった。

 親にも多分連絡がいっているだろう。祐が獄門学園へと行った事を知らされている。

 でも昨日まであった寂しさは何処かに吹き飛んでいた。ここで仲間を作って、忘れてかけていた友達という感情が生まれた。

 学校での仲間なんて、裏で悪口を言われている事を知り、友達なんて上っ面だけだと知った。

 だがここでは、自分みたいな奴に優しくしてくれて、普通に接してくれて、自分と居て笑ってくれる人。上っ面だけじゃなく、本心と感じた。

 昨日も久しぶりにスポーツをしたが楽しかった。キャッチボールだけど、とても楽しかった。

 昔、祐と遊んでいる時と同じだった。楽しくて時間を忘れてしまうほどだった。あの頃はとても、よかった。

 聖燐に勉強を教えるのも楽しかった。祐に教える時よりも物分かりがよく、分かった時の嬉しそうな顔、そして感謝された時の笑顔。

 忘れられなかった、こんなにも嬉しい顔をされたのも久しぶりだ。

 なんだか充実した日々を送っている気がする。本心で頼ってくれる人がいる。本心で喜んでくれる人がいる。

 あの頃と同じずっとずっと誰かが後ろについてきてくれて、自分を大切な人と思って慕ってくれた。

 そういえば今の祐は、私といて本当に楽しいと心から思っているのかな。


『廉姉の妹なんか辞めてやる!』


 その言葉は私の心に刺さった。

 このリボンも何もかもが必要じゃなくなった?私は何の為に生きてたの?

 弁護士になりたかった?病院の先生になりたかった?女優になりたかった?どれも考えた事なんてなかった。

 祐を導く為にずっとこの身を捧げてきた。

 祐と姉妹じゃなくなったら私はただの囚人であり、囚われた烙印を押された姉失格の人間。

 でも、ここには仲間がいる。私を慕ってくれる仲間が……もうこれでいいのか?いいんじゃないのか。

 祐がいなくても……祐がいなくても……祐が……

 

「また、寝ちゃったか……大丈夫だよな。祐、廉」


 廉は寝てしまった。

 戦って疲れのもあるが、また心に一つ暗雲が立ち込めた。

 聖燐も身体の傷を癒す為に、また眠りに入った。


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