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獄門学園〜可憐なる姉妹決戦〜  作者: ワサオ
第二章 獄門学園
13/66

13.廉、獄門学園到着

 ヘリコプターが飛び立って時間は経った。


「何か変わった臭いが?」

「そんなのする訳ないでしょう」


 聖燐が一人周りの匂いを気にしているが、そんなのは無視した。

 気づくとヘリはゆっくりと地面に着陸し、そして開く扉を前に、聖燐が少し不安になりながらも意気込んだ。


「着いたか……いよいよ、獄門学園とのご対面か」


 扉が開くと、武器を構えた隊員が現れて、縛り付けられた二人を立たせて怒鳴りつけた。


「おい! 早く外へ出ろ!!」

「へいへい、分かったから、大声で叫ぶなよ」

「口答えする気か!!」


 口答えした聖燐に隊員一人が、抵抗出来ない聖燐の強めに顔面を殴り倒した。更に軽く腹を蹴り、威圧的な態度で接してきた。


「ぐっ!」

「分かったか!! さっさと行くぞ!」


 廉は蹴られた聖燐に寄ろうとするが隊員に止められて、ただ黙って眺めているだけだった。聖燐は隊員に強引に立たされて、扉から荒く押し出された。外へと出されて、真っ先に周りを見渡した。

 今いる場所はヘリポートで、他にも無数のヘリポートがあり、付近には管制塔もあり、小銃を持った兵士たちが所かまわず見張っていた。常に捕獲隊が慌ただしく動いており、とても広々とした場所である。その周りを厚く大きな壁が囲んでおり、脱出は容易でないのは目に見える。そのせいで外側のどこなのかは一切分からなかった。そして別の方向の奥を見ると、壁の向こうに巨大な何十メートルもある鉄の塔がいくつも聳え立っていた。二人はその塔に見上げていた。


「何だ、あの塔は……」

 立ち止まって塔を眺めていると、隊員たちが怒鳴り込んできた。


「さっさと歩け!!」


 二人は小銃でど突かれて、塔がある方へと隊員についていった。その方角の壁には、大きな鉄の扉が立っており、その向こうからは騒がしい声が響いてきた。聖燐はその声に息を飲んだ。この向こうには自分と同じ、悪行により連れて行かれた者たちが集まったこの場所──この奥がどんな奴らがいるか考えるだけで少しだけワクワクしていた。


「向こうに獄門学園に連れてこられた奴らがいるのか……」


 そして扉の前に立ち、隊員たちが無線で別の場所へと連絡を入れ始めた。一分経つと、扉がゆっくりと開き始めた。扉が開いて、奥から聞こえてくる声は徐々に大きくなってきた。興奮が止まらない動物たちのように。

 扉が完全に開いた。隊員に連れられて重い足取りの中、扉の向こうへと足を踏み入れた。まだ見ぬ世界のようだった。その光景に思わず二人とも足が止まってしまった。


「ここが……獄門学園なのか」


 扉の先は一直線の道があり、その先には先ほど見えた巨大な塔の入口へと繋がっていた。

 二人は先ほどから聞こえてきた声に叩きのめされるような勢いで罵倒されていた。塔への道の両脇には有刺鉄線が張られているフェンスがあり、そこには大量の囚人が、男女に別れていた。全員制服を着ており、いかつい顔をしてフェンスから威嚇していた。顔を見ると分かりやすいほど、怖い顔や悪いことをしそうな顔ばかりで、その暴れている様はまるで獰猛な動物園のようだった。


「これ、全員獄門学園に捕まった奴らかよ」


 女性囚人は憎たらしい顔に睨んできて、男性囚人は廉を見てヨダレを垂らしながらうっとりとしていた。

色々な野次が飛んでくるが真っ直ぐと凛々しく歩いていた。聖燐は睨んでくる女性囚人を逆に睨み返していた。何故か喧嘩腰で、囚人に絡んでいた。


「何だお前、やる気か!?」

「後でぶっ飛ばしてやるよ!! このブスどもが!!」


 汚らしい言葉をやたら自信満々に言いながら、道を歩いて行く。廉が女性囚人の方角を見ると、何やら身体が大きな女性囚人や、金髪の小さな囚人など、特徴的な囚人が目に入った。だが、別にその事に触れずに塔の前に到達した。

 また隊員たちが何処かへと連絡すると、扉が自動ドアのようにゆっくりと空いた。そして廉たちは塔の中に連れて行かれた。ちょっと未来感のあるテクノロジーが進んだSFチックな内装で、隊員が手錠をつけた囚人たちを連れて歩いていた。入り口だけでもかなり入り組んでおり、困惑する二人。


「すげぇ……映画みたいだ」


 唖然としている二人は別の場所連れて行かれた。そこはガラス張りのラボで、部屋の中央には無数の台が設置されていた。入った途端、二人は女性隊員たちに手渡された。優しそうな顔で、同じ女性として少しは安心する聖燐だったが。


「さぁ、貴方たち上の服を脱ぎなさい」

「はぁ?」

「早く脱ぐのだ!!」


 聞き返すといきなり性格が急に変わり、いきなり殴りかかってきた。


「痛え!!  何すんだ──」


 また口答えしようとする聖燐の口を廉が無理やり押さえ込んだ。


「今は従った方がいいわよ」

「だがよ!」


 そでも拳を出そうとする聖燐の手を抑え、


「ちっ……分かったよ」


 廉は率先してゆっくりと服を脱ぎ始めた。上半身裸になり、恥じらいもなく女性隊員たちに綺麗な整った身体を堂々と見せて前に出てきた。


「脱いだわよ……で、どうすればいいの?」

「こっちへ来い」


 言われるがままに着いて行くと、女性隊員たちが少し強めに身体を掴みかかった。そして台の上に乗せられて、強引に手足を開かせて、うつ伏せにさせられた。

 そしてテーブルに収納されてリングで手足を硬く固定された。

 廉は抵抗もなく従い、隊員に尋ねた。


「今から何をするの?」

「烙印を押すのよ。レーザーで」


 隊員がタブレットで操作すると、天井のパネルが開き、その中から鋭い先端を持つアームが出てきた。廉がそのアームを見て慌て出すと、隊員たちが布で目隠しをして、口にも布を詰め込んだ。

 アームが廉の背中へと迫り、廉は更に慌て始めた。背中に止まるとレーザーが一気に放射された。背中に焼かれるような痛みと熱さが同時に襲いかかった。


「ん!! んん!! ん〜!!」


 廉は声にならない声で叫びをあげた。目から涙が出て、必死に布を噛み耐え、布を噛みすぎて、ヨダレが垂れ落ちてきた。でも廉は必死に耐えた。

 死ぬのかもしれないと覚悟したが、それよりも早く終わってくれという感情が押し寄せてきた。


「な、なんだよ……これ」


 聖燐もその光景が目に焼き付いて、思わず腰を抜かしてしまった。目の前で起きている事は本当に日本なのか?これは夢じゃないかと、錯覚かと思うほどだった。

 生きていて味わった事もない熱が背中に押し寄せ、背中に数字をゆっくりと刻み、終わるに一分以上もかかった。廉には倍以上の五分以上かかったように感じた。

 ようやく廉の目隠しと口の布が外された。


「はぁ……はぁ……」


 その顔はまるでフルマラソンを走り終わったような汗だくな顔になっていた。そして息が切れそうになり、疲れ果てていた。

 そして隊員が台から下ろして体力が切れかけれいる廉を突き倒して、見下すように怒鳴った。


「万丈祐!! お前はクラスD一の囚人番号〇四八だ!」


 廉はそのまま突き倒されて、上の制服を投げつけられた。背中にははっきりと数字が刻まれており、一生消えない傷となった。

 そして次に隊員は目線を聖燐に合わせた。だが、聖燐は完全に怯えており、足を震わせてそのまま逃げようと這いつくばりながら後退し始めた。


「む、無理だ!あんなの……あんなの無理だ!」


 涙を浮かべて、情けなく逃げて行こうとする聖燐に、隊員たちは面倒くさそうに捕まえた。


「さぁ、来るのだ!! お前も烙印する時間だ」

「い、いやだ!! そんな事したくない!!」

「逃げられない事は分かっているはずだ……さっさと来い!」


 嫌がる聖燐を隊員たちが取り押さえて、無理やり服を脱がせた。

 それでも必死に抵抗する聖燐に、隊員は懐から拳銃を取り出して、聖燐の胸元に向けた。


「え?」


 そして躊躇もなく撃った。電撃のような光が聖燐の身体に走り、一瞬身体がビクッと揺れて、目が白くなって意識を失い倒れた。

 廉が隊員を睨みつけると、隊員はニヤリと笑いながらその拳銃を見せつけてきた。


「従わない奴はこれに限るな……お前も下手に従わなかったら、こうなるぞ。まぁ、そう簡単には死なない筈だ」


 気絶した聖燐を隊員が持ち上げて、台に乗せてリングで固定されて、再びアームが聖燐の背中へと焦点を当て、レーザーを背中に発射した。背中にレーザーが当たった瞬間、ビクッと身体が跳ね上がったが、それ以降は動く事もなく、レーザーはスムーズに数字を刻んで行った。


「紅羅輝聖燐!!  お前もクラスはD一の〇四八だ!!」

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