第一話 知らない天井
「目標地点まであと5分!!」
「なぁ生きて帰ったら何するよ?」
「はぁ?たく…聞こえてんだろこのラジオ?」
《全人類に次ぐ!!もはや人類に勝ち目は無い!!だが!!我々はただ死を待つ訳には行かない!!人類は闘争で発展し成長してきた!!それを奴等に見せてやれ!!人類よ!これが最後の悪足掻きだ!!》
「な?『人類抵抗軍』最後のメッセージだ、俺達はバケモン共に一泡吹かせて死ぬ、片道切符なんだよ笑えるな」
「確かに笑えるよな俺達が死ぬって勝手に決め付けるのが…いやムカつくな、おい!決めたぞ生き残ったらふざけた世界を旅するぞ」
「おっ!良いな!んじゃそん時はバケモンや人類に中指立てながら乾杯するか!!」
「目標地点に到着!!『パワード・アーマー』隊は直ちに降下しろ!!」
「んっ……ふぁっ…あぇ!?」
パチリと目を開け眠気眼の中周りを見て素っ頓狂な声をあげながら覚醒する、全く知らない天井…病院とかの類ではなく動揺していると扉が開き、絶世の美女としか言いようがない幼女が部屋に入ってきた。
「やぁ目が覚めたようだね、さぁ君が最後だから来ておくれよ」
そう彼女は手招きをして扉の奥に消えていく、言われた通り彼女の後を着いていく
「あーあー…んっんん…!」
「おや、随分と声の調子が悪いようだね…いや声の変化に気付いた様だね、何安心した前この後君の…さて着いたよ」
そう言いながらドアを開け中に入った彼女に続けば、そこには丸いテーブルがあり、そこには二人の男女がいた。
男は冴えない感じで昔の本で読んだオタクとか言う奴だろう、そして女の方は勝気で生意気そうな何となく俺の相棒に似ている幼女だった。
「さて全員集まった様だし自己紹介、私は君達の言う『女神』だよ」
「へぇ…面白い冗談だ今更女神が何の用だ?人類は品切れだ残念だな」
幼女が幼い声で吐き捨てながら女神に向かい舐め腐った態度を取りながら中指を立てる…この最高な態度…間違い様がない俺の相棒だ!
「相棒の言う通りだ来るのがだいぶ遅かったな、相棒?と言うか何で女の姿になってんだ?負傷して身体を入れ替えたから?」
相棒の頭を撫でながら笑いながら賛同し、相棒に聞く…何故か知らないが女になっている事について聞く、すると怪訝な顔をし鬱陶しそうに手を払いながら言ってきた。
「お前も女だし立派なギャルだぞ、何だよそのデカい胸」
「嘘でしょ…オタク君俺マジで女だったりする?」
「えっ?あっ…あぁはい…」
俺は慌てながらオタク君に詰め問い詰める、オタク君は顔を真っ赤にしながら辿々しく胸をガン見しながら答える、オタク君胸に目は付いてないんだ頼むから目を見て話してくれ…改めて自分の胸を確認する、それは見事なクソデカい山が二つあったダブルツインエベレストかよ…
「うわデカ!?マジかよ…2人共々女とか何だよそれ…そういや女神って言ってたけどこれどういう事だ?と言うかマジで?」
「あはは、ようやく話を聞いてくれる気になった様だね…勿論私は女神だよ、そうじゃなきゃ名乗らないよ」
女神と名乗った彼女は陽気に笑いながら、椅子に座りにこやかにこの状況を説明してくれた。
簡潔に言えば俺と相棒そしてオタク君は死んだ、厳密には俺と相棒とオタク君が住む地球は別で女神もオタク君と同じ地球の女神だが、オタク君を異世界転生とか言う奴をさせる為に呼んだがたまたま近くをどう言う訳か戦いに慣れてる俺たち二人の魂が漂っていてついでに連れて行く事になったらしい。
「さて…取り敢えず全部話したし早速行こうか」
「ちょっと待ってくれ!異世界転生って言ったよな!?そしたらチート能力は!?異世界転生って言ったらチート能力だよな!!」
うわぁ!?唐突に元気になったなコイツ、目もキラキラに輝かせちゃってもう
「あぁそうだったそうだった、それじゃ君には『身体強化』をあげようそして君達には『拠点となる家』と『使い切れない程の金銭』を与えよう、君達2人には『生前の頃の力をそのまま』、さぁて君達の魂も新しい身体に馴染んだ様だし早速新しい転生場所に行こうじゃないか!『遥かな未来ではないが僅かに化学技術が進んでいる地球』へ!!」
まるでさっき迄忘れてた様な声をあげながら、手から眩しい光の玉が現れそれが吸い込まれる様にオタク君の中に入る、苦しそうに呻くがそれは一瞬で収まり。
女神はウキウキでステップを踏みながら素朴な木製のドアに手を掛けそのまま開ける、オタク君が必死な表情をしながら何を叫ぶが、ドアから溢れた凄まじい光に包まれ気絶した。
「また知らない天井だ」
目を覚ますと隣にオタク君や相棒そして何故か女神がいるのをぼんやりと確認しながら、本日二度目の見知らぬ天井を見ながら呟いた。