無気力と世話焼きの会話〜百合NTRの香りを添えて〜
「いいかげん自分で返信しなさいよ。」
「え〜いいじゃん。面倒くさい。」
「いや…まぁ、そう言うよね…。」
「うん。てか全員知ってるよ。私が返信した時はアンタが私のスマホ使ってるって。」
「あー…うん。そうなんだ?」
「うんそう。だからよろしく。」
「いや、そういう話じゃ…。」
「え〜…。」
「え〜…じゃない。」
「いやだ〜なんもかんもやっといて〜」
「もぅ…なんでこんな奴…。」
「なに?」
「何でもない。」
「そう?」
「うん。」
「じゃあよろしく〜。」
「あ、LINEきた。」
「ん?誰から?」
「えっと…え?」
「ねぇ、誰から?」
「ね、ねぇ…このさ、彼氏って何?」
「ん?あぁ、いつも通りなんか適当に送っといて。分かってくれるから。」
「何って…聞いてるじゃん。」
「ん?書いてある通り。」
「は?私聞いてないんだけど?」
「?」
「なんでそんなキョトンとしてるの?」
「言う必要あった?」
「ある。」
「え〜めんどい〜。」
「は?…いや…で?どんな人なの?」
「なんか怒ってる?」
「怒って………怒ってる。」
「なんで?」
「話をすり替えないで。」
「気になったから聞いただけ。」
「いいから答えなさい!どんな人!てか誰!てかいつから!」
「えぇ…メンド。」
「あ?」
「分かったよぉ…答えるから。」
「よろしい。」
「…えっとね…たしかね………半年前にさ、私をおんぶしてくれた人いたじゃん。」
「え?…うん。確かにいたけど…。」
「あの人にね。二週間くらい前にね。バッタリあってね。だからおんぶしてもらおうとしたんだけど、あの人がそういうのは恋人とじゃないとダメって。」
「おんぶしてもらおうとするなよ…。」
「だから、今だけ恋人ね。ってしてね。その時に連絡先交換したの。で、ついこの前…この前の日曜日に私から告白してOK貰った。」
「…そう。なんか…よく喋るね…。」
「うん。確かにそうだね。…彼氏ことだからかな?」
「…。」
「それでね、確かあの人はね、一つ下だったよ。でね、あっちの進学校に通ってるって。」
「そう…そう………。」
「?」
「不思議そうだね。」
「だって分かんないし。そんな落ち込む理由。」
「そっか…。そうだよね。」
「ん。」
「私さ………いや、なんでもない。」
「ん。そっか。じゃ、いいや。」
「…うん。そういう奴だもんね。」
「ん?」
「ねぇ、なんでその人を好きになったの?」
「そんなに好きじゃないよ。」
「え?」
「だって、いちいち『今日も恋人ね』って言うの面倒臭かったから。」
「うん…アンタらしいっちゃらしいけど…。」
「あとね。顔があんまり格好良くないのも良い。やっかみが無いのがありがたい。」
「そう?」
「うん。あの人もモテないって言ってた。いつも良い人止まりって。」
「それ、顔関係ある?」
「あるんじゃない?顔さえ良ければもうアレがアレな感じになるだろうし。」
「性格が良くて、顔が良い…確かに。」
「でしょ?」
「残酷…だね。」
「まぁ…それはそう。」
「じゃあ、恋心とかはないんだよね?」
「うーん…たぶん?」
「たぶんってどういう事?」
「うーん…もうあの人と結婚しよっかなって。」
「は?」
「あの人たぶん一途だし、誠実だからさ処女あげれば結婚までもってけると思うんだよね。」
「何言ってるの?」
「ほら、私ってこんなんじゃん。なら今のうちにって、普通じゃない?」
「そんな訳ないじゃん。」
「それにちょっと好きになってきたし。」
「は?何それ?」
「めちゃめちゃ優しいし、私のお世話をしてくれるから。」
「なんで?」
「ほら、優しくて私に都合が良いって最善の相手じゃない?」
「私もお世話してたのに…」
「え?は?なに?私のこと好きなの?」
「…好き。」
「へぇ…」
「大好き。」
「ふぅん…」
「一生一緒にいてほしい。」
「養ってくれる?」
「ヒモになって?」
「うーん…結婚したいかな?」
「ならドイツ行こ?」
「は?」
「ドイツなら結婚できる。」
「え〜メンド。海外行くのメンド。」
「…なんで結婚したいの?」
「ヒモだとさ。追い出されるかもじゃん?」
「まぁ…だね。」
「でも結婚すればさ、追い出されはしないじゃん?」
「私は絶対に追い出さないよ?」
「その気持ちが変わるかもでしょ?」
「変わらない!」
「でも、結婚なら変わっても安心。」
「そうでもないと思うな。」
「そうかな?」
「そうだよ。追い出す人だって。」
「じゃあ、あの人なら安心だね。」
「私の気持ちは変わるかもって言ったのに…なんでその人は変わらないって言えるの?」
「あ、確かに………。うーん…なんでだろ?やっぱ好きになってた…かも?」
「そんな…こと…。」
「あとアレだね。性欲とか解消できないでしょ?」
「私だって出来る。」
「だって女じゃん。」
「でも…」
「でももだってもないよ。私アレだもん。何だっけ?のんけ?だから。女を恋愛対象とか、性欲の対象にできないし。」
「…。」
「友達としては好きだよ。大好き。」
「………。」
「でも無理だよぉ。だってアンタだし。無理よ無理。」
「なんで…。」
「てか、私じゃなくてもよくない?」
「は?」
「女にも居るよ?アンタ好きな子。世話焼きで、長身で、顔が良くて…その気の女にはモテそうじゃない?知らんけど。」
「そんなの関係ないでしょ?」
「あるよ。私からすれば。」
「そんな事…」
「分かったでしょ?もう諦めたらどう?私以外でも良いでしょ?」
「そんなわけないでしょ?」
「なんで?」
「私は女が好きでアンタを好きになったんじゃなくて、好きになったアンタが女だったんだから。」
「ふーん…メンド。」
「…じゃあさ。」
「なに?」
「試そうよ。」
「何を?」
「本当に私にできないか。」
「は?」
「私でもアンタの性欲を満たせるかどうか。」
「いやいや…。」
「ふーん…メンド。じゃないんだ?」
「は?メンドいが?」
「じゃあ試してもいいよね?その代わり一回おんぶしてあげるよ?」
「ん?…んー………まぁ…いいよ。でも一回ね。」
「それでいいよ。」
「あ、やっぱりあの人に処女あげてからね?血、出なかったら嫌だし。」
「………それでいいよ。」
「じゃあ決まりね?女同士ならセックスでもないんだろうけど。」
「そうでもないような?」
「うっそだー。」
「ほんとほんと。」
「それでも破られたりしたら嫌だからね。」
「…。」
「これでおんぶなら安い安い。」
「ふーん…ま、いいよ。」
「いやー…てかそれでおんぶしてくれるならいくらでもヤってもいいのに。」
「ほんと!?」
「嘘なんてつかないよメンドい。」
「じゃあおんぶのかわりね?」
「もうそれでいいから。帰ろーぜ。」
「あ、分かった。」
「じゃ、再来週ならたぶんいいから。」
「…分かった。」
「じゃ、そゆことで〜。」
「うん。再来週ね。」