足立の気づき
「2日前。僕たちは、練習のために借りた 本校舎の裏にあるステージに向かっていました」
「確か・・・午後2時から借りてたんだよな」
「はい・・・」
足立の問いかけに頷いたのは、《軽音サークル》部長の池田だ。
「その日、都合がついたメンバーは、僕を入れて3人だけだったので、3人でステージに向かっていたんです。・・・その途中、本校舎に差し掛かった時、銅像を破壊している現場に居合わせたんですよ」
「銅像を壊していたつぅ奴は、水谷 イズミで間違いないんだな?」
「ーーー!」
足立の言葉に、池田は息を呑む。
「水谷さん を知っているんですか!?」
「ん? あぁ・・・私たちは、水谷の潔白を証明するために捜査してんだからな」
「ぇ、、、でも・・・」
言いづらそうに口ごもる池田
確かに、実際に犯人を目撃した池田にとって、《探偵サークル》の捜査は理解に苦しむモノだろう。
「アンタらは、水谷が銅像を壊す所を見たんだろ。その場目を もうちょい詳しく教えてくれないか?」
バリボリ とボサボサの髪を掻き毟りながら、《軽音サークル》に問う足立。だがしかし、彼らは困った様に顔を見合わせるだけだ。
当然だ。
《探偵サークル》は、言わば《軽音サークル》を否定する立場にあるのだから。
そんな連中に、快く協力など出来る訳がない。
「あの・・・イズミちゃんだと思いますよ」
おずおず と足立に言葉を返したのは、池田の後ろにいた女子部員だ。
「アンタは?」
「ぇと・・・軽音の峰打です」
「峰打さんね・・・そう思う根拠は? 犯人は 犯行時、フードを目深に被っていたんだろ? そんなにハッキリとは顔は見えないはずだ」
「ーーー? ぃ、いえ・・・フードなんか被って無かったですよ?」
「は?」
峰打の言葉に、足立は首を傾げた。
「いや、だって・・・防犯カメラには・・・」
「逃げる時に被ったんですよ」
「え?」
「俺たちに見つかって、逃げ出す時にフードを被ったんです。だから俺たちは、銅像を壊している水谷の顔をハッキリと見れたんですよ」
「・・・」
足立は、隣にいた田中に目を向けた。田中も困惑の表情で首を傾げている。
それもそのはずだ。
逃げる時に、顔が分からないようにフードを被るのは理解できる。だが、それなら犯行時にも 普通はフードを被るはずだ。
「なぁ 田中。犯人の心理とするなら、銅像を壊してる時が 1番見られたく無いはずよな?」
「えぇ。犯行を見られて、咄嗟にフードを被ったしたら説明はつきますが・・・いくら何でも杜撰すぎる気がします」
「そうよな・・・まるで銅像を壊す所を見て貰いたかった感があるよな・・・」
口元を手で覆いながら「うぅ〜ん」と悩む足立。
と その時、ある“違和感”を覚えて、再び《軽音サークル》の面々に質問する。
「ーーー! ちょっと待った。この中で、犯行を見た人って誰?」
《軽音サークル》の部室には、現在5人のメンバーがいる。
足立に問いかけられた《軽音サークル》の面々は、訝しげに首を傾げて、一度 お互いに顔を見合わせる。
そして、恐る恐るといった感じに 準じ手を上げ始めた。
「ーーー!」
それを見た足立は、不意に頭をもたげた“違和感”の正体に気がついた。
と 同時に、今回の事件の真相に辿り着く。
否。
真相の目の前 と言った方がいいだろうか。
「田中!」
「? 何ですか?」
「今すぐ学生課の北郷の所へ行って、ある事を確認してくれ!!」
「ある事って・・・?」
足立は、田中に“ある事”を伝えて、北郷の元に走らせる。
その後ーーー、
「最後にひとつだけ聞かせてくれ、《軽音サークル》の諸君」
《軽音サークル》の面々に向き合って、今回の事件の鍵となる事を聞き出した。




