再会
彼の名前は田中良治、産まれてからゾンビと共に育ってきた、死人いわゆるウォーカーの扱いはお手の物だった。
自分の通路をつくるために園芸コーナーの木材でゾンビ除けの柵を作り生活している。
良治は柵の中をとおって母親のいる婦人服売り場に向かった。
父親が死んでゾンビになってしまった事を伝えないといけないのだ、その二人の心労は計り知れない。
「ごめんなさい父さん・・・ゾンビになっちゃった・・・」
そういうと母親の反応を伺うように覗き込む。
「どうしてなのぉ・・・」
良治は蹲る母親を抱きしめた血まみれの服をきたまま。
「かあさん、そうもいってられないよ!気丈にしなきゃ!」
「そうね・・・今夜の食事も作らないといけないし」
母は強かった。
試着室にゾンビをひきよせてからおしこみ閉じ込める、出来るだけ母親はゾンビを殺したくないというのだ。
良治にとってはそれが不思議で仕方なかったが母親を連れだして父親ゾンビのいる所へと戻ってきた。
「父さんを楽にしてあげよう・・・」
「駄目よ。ゾンビになっても父さんは父さんなの殺さないで!」
「しっかりしてよ母さん!!ゾンビなんだよ!?」
ポケットに忍ばせていたサバイバルナイフで父親の顎から脳を破壊する。
「いやあああああああああああやめてえええええええええ」
良治は絶句した。
「どうすればいいんだ、もうこれは父さんじゃないのに」
「あなたああああ」
「おいそこの餓鬼」
現れた男は大柄でいかにも輩といった風貌で釘バットをもっていた。
「ちゃんと潰せよ」
ぐちゃりぐちゃりと頭部を破壊する。
ゾンビは脳をさされたくらいではしなない、何故ならばすでに死んでいるのだから脳も機能していないはずなのだ。
完全に頭部を破壊しきらないと死なないゾンビもといウォーカー。
金髪の恰幅の良い男は頭を潰し終わると良治の髪の毛を掴んで引っ張った。
「なにをする・・・んだやめろ!」
「いいからこっちにこい」
引きずられながらつれていかれる。
母親はうずくまったまま父親の死体をずっと眺めていた。
「母さん!!」
「黙れ餓鬼!」
ポッケのサバイバルナイフを取り出すとその男を斬りつけた。
「いってぇええええええええええなああああああああ」
釘バットをフルスイングするもギリギリで回避し足をひっかけ喉元にナイフをつきたてる。
「まだやる?」
男は荒い息遣いで舌打ちし答えた。
「好きなようにしろ」
良治は解放することを選んだ、男の手にある入れ墨は極東団の印だとしっていたからだ。
極東団はなんでもやる悪い奴の集まりで商業施設の半分を牛耳っている。