表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

始り

少年はオイルサーディンの缶詰を握りしめショッピングモールの片隅に佇んでいた。


しなびた野菜が腐敗臭を放ち、鼻をつく異臭は嗚咽せざるを得ない状況だ。


にもかかわらず少年は缶詰のタブに手をかけ一口で食べる。


味わうようなものではなく、摂取するために食しているにすぎなかった。


「お父さんはどこにいったの」


そうひとり呟くと、事務室につながる通路から音がした。


一抹の不安が少年の心に過る。


うめき声と共にゾンビが徘徊するスーパーを俊敏に駆け抜け、父親を探し続ける。


ウォーカー(歩く死人)は音に反応する習性をもち群がる。


缶詰を商品棚に投げつけ音をたてることでゾンビの挙動を操作する。


空いたスペースを縦横無尽に駆け回り自分にとって必要な備品を揃えていく。


アウトドアコーナーにあった花火を設置して騒ぎを起こす。


花火に群がるゾンビをよそめに父親をさがしはじめる。


事務室にはいなかった。調理場にも。


しばらくするとフードコーナーに見覚えのある顔をしたウォーカーがいた。


「とうさん!」


だきつく少年に嚙みつこうとする。


涙をながしながら—―。


「いやだああああああああ」


「父さん!父さぁん!」


唸りながら少年に襲い掛かるウォーカーは膝がおれてうまく歩けない。


ポケットにいれていたサバイバルナイフで抱きしめながら頭部を刺す。


血に塗れた手をみながら少年は父親をだき下ろすと決意をきめて


広場へとかけだす、母さんが待ってる。強くならなきゃ。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ