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《1》勇者姫たちの道

 

 日本。

 極東の小さな島国。

 元『絶対中立』の国。

 現在破竹の勢いで中小国を侵略中。



 侵略ではなく、併合した国も多い。

 まずその国の首脳陣と会談し、取り引きや契約で和解すれば日本の領土とする。


 だがまぁ、それが出来ずに侵略してしまった国はやはりいくつかあったのだが。


 特に有名なのは、『ルーデンクルフ侵攻』だ。

 たった三日間の戦争だった。

 たった三日でルーデンクルフという街は潰れてしまったのだ。

 たった三日で、ルーデンクルフという傭兵街は滅ぼされてしまったのだ。

 

 これはかなりの脅迫材料になった。

 

 元々ルーデンクルフとは、ならず者や腕っ節の強い者を集める傭兵ギルドがあったのだ。

 小規模のテロや紛争を鎮圧するなどの依頼を受ける、いわゆる傭兵団がルーデンクルフという街だったのだ。

 

 そんな街がたった三日で潰されてしまったのだ。

 化物だった。

 そして日本は、『逆らうと潰すぞ』という脅迫で、話を円滑に進める事が出来るようになった。

 しかし、やはり抵抗してくる国は出てきてしまうのだった……。




    ◇ ◆ ◇



 

 日本国首都『皇都』。

 その中心に位置する『城』。

 その城の政務室に、彼女は座っていた。


 ヒナ・ラヴデルト・フリギア。


 日本を治める王女。

 

「さて、現時点での戦況は?」

 

 宰相、ミラン・アルノアード。元マジスティア魔導国家の貴族だ。

 眉目秀麗。品行方正。書類仕事から武術魔術剣術まで、幅広い才能を持ちながら聡明な頭脳まで持つ完璧人だ。

 長いマジスティア国民特有の蒼色の髪と鋭く知性的な金瞳が特徴的。

 

「ただいまデルテン貴国との戦争状態にありますが、あちら側の戦力は微々たる物、すぐ終わるでしょう」


 そう応えたのは、美しい黄緑色の髪と凛々しい顔立ちの美女、日本国軍《将軍》エルデリカ・ヴァーリエ。


「敵の魔法も大した物ではありません」


 と、日本国軍魔導兵団長、シャリー・クシャー。

 彼女は髪がボサボサで、顔がよく見えないのだが、チラチラと見える目は鋭い。


「別に珍しい兵器も持ってないみたいだしねー」


 こんどは日本国軍技術開発部の柊紅葉。

 桃色の髪を生やし、見た目は小学生だ。しかしながら、彼女はれっきとした高校一年生である。


「さて、では特に話すことも無いでしょう。会議はこれにて終了します」


 と言ったのは。


 ヒナ・ラヴデルト・フリギア。


 美しい顔立ち、艶やかな金髪、滑らかな肌。そして白と金で構成された豪華なドレス。

 気品に溢れる立ち振る舞い。尊厳のある、威風堂々たる姿。

 彼女を見た人間は、彼女をこう呼ぶ。

 

 ――《勇者姫》、と。




 ◇◆◇




 素早く終えた戦況報告の後は大臣方の集まる報告会議だ。

 税率、農業、輸入、治安、反政府組織、反政府自治団体、その他その他……。

 それらの状況を報告してもらい、国の今後の方針を決めるのが俺の仕事だ。


 《勇者姫》。ヒナ様は残念な事に書類仕事やそういった事務が苦手だ。


 だから、宰相である俺がそれらを担い、まとめ、そして今後の方針を彼女たちと決めるのだ。

 

 シャリー・クシャー。

 エルデリカ・ヴァーリエ。

 柊紅葉。

 そして俺で構成された、《枢密院》。


 彼女たちと話し合い、そして最終的な意思決定はヒナ様がする。


 これが、今の日本政府のメカニズムだ。

 彼女たちは物凄い力を持っている。

 シャリー・クシャーは魔術の奇才。

 エルデリカ・ヴァーリエは剣術の異才。 

 柊紅葉は技術の鬼才。

 彼女たちが何故、あんな辺境の城に篭って暮らしていたのかは解らないが、彼女たちを仲間にした事で、俺の計画は一気にし進んだ。

 これならあと半年ほどで中小国は日本に下る。

 そして順に大国を下していくのだ。

 グノーシア。

 マジスティア。

 そしてフリギア。

 虐殺などはしたくないが、もし交戦するのであれば、避けられないかもしれない。

 それでも、進む。

 進んで進んで、誰も泣かない、誰も不幸にならない世界にするために《アレ》を手に入れる。

 だから僕は契約した。

 それが神聖な契約なのか、邪悪な契約なのかはわからないが。

 とにかく僕は、世界を平和にしたい。

 

 僕は……、


 僕は……、


 俺は……、


 この世界を、《幸福》な世界を、創ってやるんだ……………………。


 そういう、《約束》をしたんだ。

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