第四章.モノガタリの《α》
世界は一つじゃない。
沢山の次元、空間が存在し、そこには生物が住んでいる。
だから世界は一つじゃない。
とある世界で。
その世界の摂理は比較的単純に、簡単に構成されていた。
そこは、強い者だけが残る世界だった。
弱肉強食の世界だった。
その世界の頂点に君臨する者たちは、自らを《支配者》と名乗った。
しかし神にはどうでもよかった。
どうせ彼らには力が無いのだから。
例えその世界の頂点に君臨していても、どうせ自分たちには敵わないのだから。
だから神は彼らを無視していた。
けれどそれは間違い。
愚かな間違い。
それに気付いた時にはもうすでに遅かった。
生まれてしまったから。
悪魔が。
自分たちにを脅かす存在が。
支配者たちから、生まれてしまった。
だから神は、××××はその世界を壊すことにした。
――けれども、問題が起きた。
ヒメが、真のユウシャであるヒメが、悪魔に恋をしてしまったのだ。
悪魔を殺そうとすれば、ヒメも一緒に死んでしまう。
それはいけない。
××××にはヒメが必要だから。
ではどうする?
××××は考えた。
神はすぐさま思いつく。
それは恐ろしく醜い方法だった。
それは怖ろしく穢い方法だった。
神はそれを実行する。
悪魔を闇に堕とす。
ヒメも闇に堕とす。
ヒメが嘆く。
悪魔が願う。
神はそれを叶える。
悪魔が喜び、ヒメも喜ぶ。
だから神は狂喜した。
狂喜しながらかヒメを裂く。
光と闇に裂いて、闇を悪魔に押し付ける。
闇を押し付けられた悪魔は、深い眠りについた。
器は鳥籠へ。
光を惑わす。
そうして悪魔は眠りについた。
脅威は消え去った。
そして。
そして。
そして××××は、悪魔の逆鱗に触れてしまった。
ヒメは、狂ってしまった。
器も狂ってしまった。
それが始まり。
それがα。
約束。
罪。
罰。
贖い。
悪魔が、禁忌の悪魔が、××××に弓を引く。