誰かが誰かの為に嘆いた。
みっじけー。
「勇者が、抜いた」
「そうか、とうとう抜いたか」
呪われた聖剣。
絶望を集めて、絶望で創った剣。
「てことは、もうすぐ悪魔が目覚めるぞ」
「ああ」
「俺たちは、狂わないことを、願うことしか出来なのか?」
「そうだ。私たちは、あいつが狂わないように、願うしかない」
「何故。まだ間に合うだろう。まだこの物語に関与できる余地が、まだあるだろう!」
「そう癇癪を起こすな。私だって関与したいし、助けてやりたい」
「だったら何故!」
「邪魔なんだよ。私たちは。この物語りには邪魔な存在なんだ」
「だからって、だからって俺は……!」
「「そうかっかしないで」」
「……なんだよエセ双子」
「エセじゃないよ」「私たちはちゃんとした双子だよ」「私たちは従姉妹だけど双子だよ」「ジェミニだよ」
「…………」
「で」「話は戻るけど」「貴方は勘違いしてる。」「勘違いしてるよ」
「何を勘違いしてるって言うんだ?俺が親友を助けちゃいけない事に、憤ってる事がか?」
「違うよ」「違うよ」
「じゃあなんだよ」
「貴方は関わろうとしてる。」「関わろうとして」「関わることが出来なくて」「怒ってる。」「すごく怒ってる。」「でも関わろうとしない。」「自分から関わろうとしない。」「何故?」「何故?」「答えは簡単。」「あなた自身関わっちゃいけないと思ってるから。」「邪魔しちゃいけないと思ってるから。」「彼女二人と」「あの人の」「「この物語りに」」
「…………ぐっ」
「怒るのはおかしいよ。」「駄目だって判ってるのに。」「怒るのは矛盾しているよ」
「わかってる……」
「落ち込まなくてもいいよ。」「大丈夫。あの人は狂わないよ」
「どうしてそう言える」
「だって彼女がいるから。」「愛に狂って惑わされて、それでもまだあそこに彼女はいるから。」
「…………」
「「だから大丈夫」」
「…………」
ずっと黙っていた彼女が、口を開く。
「……大丈夫だって」
「………お前」
「大丈夫。信じよ?親友なんだから」
「…………。……ああ、ああそうだな」
結局彼らには、何もすることが出来ない。
短いー。




