第二章《終》.――月が堕ちて彼女が嘆く
紅い月。
紅い月。
呪いで創られし、紅い月。綺麗で汚い、紅い月。
あなたは何のために生まれてきたの?
絶望で塗装された、紅い月。禍々しくもどこか儚い、紅い月。
穢れた月が、闇夜を照らす。
禍々しき、紅き光で、黒に塗れた地を照らす。
紅い月。
紅い月。
全てを滅ぼす、終焉の月よ。
ωを告げる、偽りの月よ。
あなたを殺せば、世界は救われるのですか……………………。
◇◆◇
歌が聞こえる。
酷く、酷く悲しそうな、歌声。
そう思っていると、私は、涙を流していた。
私の、この瞳から。
悲しい。
心が、締め付けられる。疼く。
それでも。
それでも今は、違う。
心の事を、気にしている場合じゃない。
「あなたは、誰なんですか…………」
私は、自分の目の前にいる自分に、そう聞いた。
彼女は言う。つまらなそうな表情で言う。
《私?わたしは**》
「**?それは、……一体、なんですか?」
《**。そのままの意味で。『 』を統べる**にして、*の**。それがわたし》
「*の**?それは、私の事じゃ……」
《そう》
「……貴方は、私と別人?」
《いいえ、違う。貴方が*の**であるように、私もまた*の**。貴方であり、貴方ではない。そして貴方と私はは**の*。》
「意味が、わからないのですが……」
《わかりなさい。直ぐにでも。貴方は大切な事を忘れてしまっている。それは、決して忘れてはいけないと決めた、大切な記憶。だからはやく、思い出しなさい》
「そんな事を言われても……」
《さもなければ、貴方は**に*される》
「…………ぇ?」
《最初はどうか判らないけど、けど結局のところ、貴方は**に*されて終わり。貴方はそこで思い出して、後悔する。後悔して、死ぬ。それで全部終わっちゃう。何もかも》
「……ぇ、ぇと、…………ぇ?」
《あなたはそれほどに、大罪を犯してしまった。だから彼に*されて、終わり。そして彼は狂う。全部台無し。そうなる前に……》
オモイダセ。
物語の構成上、なんか第二章がすごぉぉぉぉく長くなりそうなので、ここで一区切りです。第三章はアルゼンにて。
すいません、第二章怒涛の後半だよなんて言って、マジすいませんorz