《7》絢爛の皇都、屋上の少女
――日本首都【皇都】。
首都皇都は、少しだけ不思議な造りになっていた。
城下町、である。
中心には日本の王城、《霞ヶ城》。
その周りに町。そして水路。
水路は幅20m、城を囲い、町を区分している。
皇都を上空から見ると、その水路が複雑に、けれども規則正しく敷かれ、何かの模様を描いている事がわかる。
不思議な模様だが、日本国軍魔術師団団長のシャリー・クシャーには、その模様がなんなのか解っていた。
魔法陣だ。
それも、何通りもの魔術を発動させる為の魔法陣がいくつも組み合わさった物だ。
城にあったものに比べるとかなり劣るが、大規模魔法陣である事は変わりない。
まぁ、それを解っていたところで、どうという事は無いのだけれど。
「…………」
城の屋上。
私のお気に入りの場所。
少し強く吹き付ける風が、私の身体を撫でる。
闇に輝く城下町が、とても綺麗だ。
近くで見れば強烈な光も、ここまで離れればやんわりとしていてどこか心地良い。
まるで、億万の蛍が這っているような光景。
夜空には煌々と輝く満月。
また、頭が痛む。
月を見て、闇夜を見て、何かを思い出そうとする。
何を思い出そうとしているのか解らない。
何故思い出そうとするのか解らなくて混乱する自分と、それを必死に思い出そうとする自分がいる。
なんだろう、なんだろう、心が痛いや。
そう思う。
「……本当に、なんなんだろう」
手首に付けていた、お気に入りの紫のゴムバンドを撫でる。
これを見ると、何故か心が温かくなる。
魔術によって蝕まれ、凍えてく私の心を、温めてくれる。
何の変哲も無い、ただの紫色のヘアゴムなのに。
「…………」
何故こんなにも、心が温かくなるのだろうか。
もしかしたら、私が必死に思い出そうとしている記憶に関係があるのだろうか。
「…………」
不意に。
「団長ー」
「ん?」
団員の呼び声。
「どしたの?」
「ハマン攻略、無事完了したそうっすよー」
「へぇ、もう?でも確か、ハマンは移動要塞を持っているからって、攻略に三日かかるって言ってなかった?」
「紅葉さんの新兵器が実験以上の数値を叩きだしたらしいっすよ」
「ああ、《エクスカリバー》でしょ。紅葉が誇らしげに言ってた」
「映像見ましたけど、凄かったすよ。こう、光がドバァー!って感じで」
「ふーん」
「団長も見たほうがいいすっよー!」
それじゃあ!と元気良く去っていった。
「…………ん」
光。
光……。
光の姫君。
――空を見上げる。
月光。
闇に浮かぶ月光。
闇。
闇……。
「闇……」
頭痛――。
痛い。
痛い。けど。
けれでも私は――。
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