第二章.月が昇りて彼が嘆く――
第二章、突入ーです。
声が聞こえる。
なんて言っているのか、よく判らない。聞こえない。
意識が朦朧としている。
視界がぼやけている。
俺に話しかけてくるお前は、誰だ……?
闇。
深い闇。
まるで海のように満たされた、闇。
ここは何処だ?
俺は何をしている?
声が聞こえる。
囁くような声が聞こえる。
誰だ?
闇で満たされていて、判らない。
耳を澄ます。
声が、変わった。
囁くような、呟くような声が、「絶望」と「憎悪」を孕んだ絶叫に変わった。
唐突に闇が晴れる。
それでも暗い。いつの間にか俺は立っていた。どこか判らない。床は、金属のような材質だ。
空は暗い。そして――
そして紅い、真っ赤に染まった月が昇っている。
真っ赤な月が、煌々と、血のように禍々しく、照り輝いているのだ。
何だあれは?
「あれは月だよ」
お前は誰だ?
「僕は――。――であって――じゃない」
訳がわからない。
「わからなくていい。だって知る必要は無いから」
そうなのか?
「今はね。その内知る。知って、きっと君は絶望する」
そうなのか?
「そう。絶望して、絶望して、絶望しきった後に、君はようやく思い出す」
何を?訳がわからない。
「そうだね、だってこれは夢だから」
夢?現実じゃないのか?
「そう。嘘か本当かは君が判断する」
性質の悪い夢だ、早く目覚めたい。
「目覚めるのは勝手だけど、あれを見てごらん?」
なんだあれは?
「君の詩さ。君が、絶望と後悔と悲鳴を込めて込めて、込め抜いて描いた、絶望の詩だよ」
……気持ちが悪い。吐き気がする。
「読めないだろう?蚯蚓がたくった文字みたいだ。だけど君にはわかるはずさ、君が書いたものなのだから」
読まない。読みたくない。
「目を背けるのは勝手だけど、君はそれじゃあ何も護れない」
……こんなもの、俺は知らない。書いた覚えもない!
お前は、お前は一体、誰なんだ………………!
感想評価批評待ってたりしまーす。