第一章《終》.――正しくない勇者
これが、ωへのαの話。
そして、始まりの終わりの話。
裏も表も、光も闇も、全部が詰まった、ωへのαの話。
欠けた知識、内容、思い。
それらを取り戻し、思い出し、そしてやっと、物語は終わりの終わりへ。
その終わりが、幸せなのか不幸せなのか、それはわからない。
ただ一つだけ。
物語は、観客無しでは動かない。
物語は動いている。
誰によって?
誰かによって。
そして物語は終わりへ。
――物語は、ωへ。
◇◇◇
彼女は、思う。
自分は、なんて卑しい奴なんだろう。
卑しく汚い、愚かで侘しく、そして醜い。
裏切った相手に、救って欲しいと願ってしまうのだから。
それはもっともっと前の話だけど、それでも彼女は、自分のやった事は罪だと思っている。
約束したはずなのに。
自分はそれを裏切った。
だから本来、彼は自分なんかが手を出して良い存在では無いのに。
――本当に私は、卑しい。
気を引こうとしている自分とか。
救って欲しいと願っている自分とか。
さりげなく嫉妬する自分とか。
本当は全部知っているのに嘘をつく自分とか。
もう本当に嫌になる。
外見がどんなに綺麗でも、私の、私の心は、黒い。
醜い欲望が渦巻いている。
助けて。
と、少女は囁く。
助けて。
と、闇の中で、囁いた。
さて、とりあえず第一章終了です。
いやぁ長い!第一章にこれだけ使うって、やばばば。
ひとまずこれで、重要な人物と立ち位置と勢力が判明しました(まぁまだすこし不明な部分がありますが)
もう少しまとめればよかったかなぁ……