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――《失楽園》の悪魔――

誤字、脱字、おかしな文章は見つけ次第修正します。

 


 そこは楽園だった。

 

 

 僕と、君と、二人きりの楽園だった。

 僕は世界から拒絶された。

 君は世界から堕とされた。

 似た者同士だった。

 だから僕は君を好きになった。

 世界の禁忌に触れ、神に拒絶され、そして神を憎み、世界を嗤った君を、好きになった。

 そして君は僕を好きだといってくれた。

 と同時に寂しそうだった。

 だから僕は、神様に言った。

 君を堕とした、狂った神様に言った。

 

 君を自由にしてくれないか。

 

 そしたら神様は言った。

 

 お前が代わりに呪いを引き継ぐなら、君をここから出してもいい。と。

 

 僕は喜んだ。

 君も喜んだ。

 僕は喜んで呪いを引き継ぎ、君は自由になった。


 しかし神は嘘を吐いた。頭の狂った神は嘘をついた。

 

 神は君を引き裂いて、闇と光に分けてしまった。

 そして僕に闇を押し付けて、君と僕は引き離されてしまった。

 君は天領に閉じ込められてしまった。

 僕は魔領に閉じ込められてしまった。

 

 僕は馬鹿だった。

 愚かだった。

 君を救おうとして、逆に君を貶める結果になってしまった。

 今、君の半身が僕の中に居るのだ。僕と一緒に過ごした記憶と共に。

 ねぇ僕の中の君。

 君は僕を恨んでるの?

 でも僕は君が好きだ。

 元に戻りたいと言いながら泣く君。

 謝罪をしてもどうにもならない。

 

 僕は憎んだ。神を、偽りの平和をつくってのさばっている、頭の腐った神共を憎んだ。

 

 だから僕は魔王になる。神に弓引く悪魔になる。

 神を殺して、君の半身を取り戻す。

 敵わないかもしれないけど、それでもあがく。あがいてあがいて、見っとも無いかもしれないけど、それでもあがく。

 そして今度は、君を幸せにしよう。

 君が笑って、君が嬉しい涙を流せる世界を手に入れる。

 

 今度は間違えない。

 

 今度こそ間違えない。

 

 さぁ始めよう。

 君を救い出す物語を。

 たとえそれが僕の不幸の物語でも、僕はかまわない。

 必ず君を、笑わせてみせるから。

 

 

 これは、そういう物語なのだから。

 


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