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夜の通り
○夜の通りにて
そして、僕はなんだか気になって外へ出た。パンクを直した自転車に乗りこみ、いきなり走り出した。行く先は駅前のハンバーガー店。僕はどうやら今を実感したくなっていた。
大きな通りへ出た。道なりに走った。夜道は暗い。ライトは薄っすら見える。
僕はただ走り抜けていく。商店街の入り口に差し掛かった。そのまま入っていく。
夜の通りを、自転車で滑走する。
光瞬く。
ネオン流れ過ぎる。
僕の笑顔は崩れる。
僕は夜の波に乗って進んでいった。
空の下、ぼんやりとした気分は清々しく変容する。
夜は、恵みを与えてくる。
それは滑走とともに溢れる、光の教化だったりするのだろう。
この世界は異色だが、呪われてはいない。
好きと愛着の遊撃が僕と仕事を潤す世界。そう、理解した。
この夜、僕の世界は夜の光によって祝福されていた。最高の世界を僕は経験した。
素敵な夜行を実感したのだった。
僕にとって、夜は大きなことを教えてくれる。
そう理解している。
これを経験した僕はもう、呪われてはいない。