マネーリングと知らないおっさん
○マネーリングを、決める
次の日。近所のファミレスにやって来た僕は、ノートブックを開いた。以前から考えていた、事業における要項を作ることにした。そっとしておいて欲しいのだが、少し贅沢かもしれない。一応できたし、これは先生に見せてみよう。東京の偉い中野の弁護士の先生だ。中野駅から徒歩5分に位置する、朝の情報番組に出ている弁護士に見せてみる。とにかくこれを先生がオーケーすれば、この事業は完璧だろう。だったらこの要項をマネーリングと呼ぼう。マネーが回るからマネーリング。僕はそう決めることにした。
○しらばっくれんな
マネーリングを決めたファミレスの帰り、家の前に知らないおっさんが突っ立っていた。
「お前、自転車盗ったろ」
「は?お前には関係ねえよ」
「お前のせいで苦しんでるやつがいるんだよ!」
「そんなわけあるかよ。もうその件とオレは関係がねえんだよ」
「しらばっくれんな。この野郎」
「はあ!?」
「わかった。これが最後の脅しだ。じゃあな」
そんな感じで、おそらく裏家業なのだろう。あのおっさんは帰っていった。本当、なんだったんだろうな、あいつ。近くにいた犬は首をかしげ、立ち去っていった。