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amazonを抱えた起業女子
○起業女子、amazonかかえ去っていく
自転車を元々あったコンビニの駐輪場に返すことにした。もうそろそろ潮時だ。僕は自分が持っている自転車のパンクを直すことを決意した。そして、勝手に使わせてもらった自転車をコンビニへと運んでいった。一応警戒したが警察は来ていない。コンビニに止めたとき、自然と「ありがとさん」と声が漏れた。
と、その帰りだった。コンビニから戻るとき、自分と同じくらいの背丈の女子が隣をすれ違った。amazonの箱を大事そうに抱え、コンビニに向かって走り去っていった。こんな人この辺りにいたんだなぁ。何やらそんな思索に浸った。考えてみればこんな事業女子がいても不自然ではない。些か、魚群のようなものかもしれない。前からいたのだ。しかし、今まで気づかなかった。起業女子がこの辺りに住んでいるなんて全く気づいていなかった。いずれ機会が合えばまた出くわすかもしれない。そのような予感すら感じた。僕の他に事業をしている人がいる、という現実を、掴んだ。なんだか、心強かった。