遊路にて踊る昼下がり
○遊路にて踊る日中
翌朝。僕は、隣町へと自転車を走らせた。何でもない。ただ意味もなく隣町へ向かう通りを走っていた。向かう先には駅がある。通りを、ただ漕いでいった。僕は走って進んだ。日差しが僕を差す。天気は暑く、苦い。僕は悪いことをしていないわけではない。しでかしてしまっているところはやっぱりある。ただ、それが病み付きになってしまっている現状がある。パクった自転車と一緒に隣駅へと走った。ただ、愉快な気分もあった。駅ナカのクリスピークリームドーナツを買うと、来た道を引き返した。僕は悪いことをしているが、悪くないんだ。そう思い込むことで、自らの正義を潤した。
○きゃりークルンクルン
翌日夕方。自転車便のワークをこなしていると、天の声が聞こえた。有名アーティストのきゃりークルンクルンさんだと気づいた。「わーい。自転車取ったろオメエ。自分の自転車あるんじゃねえのかよ。お前の使えお前の。自分の人生、自分の物使え。そじゃなー」
このゲイノウ人はとてもいい人だと感じられた。やっぱり自転車は人の物だ。オレの物じゃない。ようやく本気で自転車を返す気になってきた。