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自転車のパンクと窃盗
○路面自転車をパクる夕暮れ
そんな最中。ともすると、憂鬱は訪れた。壊れていた。僕の商売道具でもある自転車。どうしてなのだろう。心当たりはご近所に暮らすあのギャングだ。僕が起業を志向していることを知って、どうやら当ててきたのだろう、と推察した。少し考えたが、ちょっと離れたところにあるコンビニ店員「キクボ」の仕業に間違ってなさそうだ。キクボはギャングの一人。そういう認識は実はあった。ただ、トラブルになっていた覚えはない。あるとしたらアイツからの一方的な言い分だろう。起業を邪魔したい。そんなところだろうか。とにかくだ。自転車が欲しい。少し考えが及んだ。町中に乗り捨ててある自転車。そうだ、あれを使おう。鍵もかけてない状態の放置だったらお互い様だろう。よし、行こうか。近所のもう1つのコンビニに路駐している自転車を、僕は生憎頂くことにした。初夏の夕暮れ時に起きた、ある意味事件となる出来事であった。