表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多種族国家の建国日記  作者: グリドナ
9/25

009

 「ちょっといいか?」


 浮遊しながら寝ているオリビアを観察していると、カルドに声をかけられた。


 「どうしたの?」


 「気づいたのだが」


 カルドも何かに気づいたのか……。


 「おそらく……何かしら武器や防具になるものがあった方がいいと思うんだが、どうだろう?」


 凄く真っ当な話をされた。

 魔物と戦おうとしている僕らにはもちろん何かしら道具を持っていた方がそりゃいい。

 でもこの閉じた環境だと資源なんてものは海か土か木か小屋ぐらいしかなくて、鉄の類いなんてものはどこにも見たらない。


 「……それは、その通りだけど」


 「ああ、言いたいことは分かる。

  素材が無いと言いたいんだろう」


 うん、と僕は頷く。


 「どうやらな、強い体以上に物を作ることが得意なようでな」


 「ん?カルドが物を作れるってこと?」


 「そうそう。本能的に物を作るってことに、長けてるようだ」


 「え、なんでそれが分かったの?」


 「いやそれが、気づいたんだ。本能の赴くままに、こう作ってみたら……」


 「作ってみたら、ってさっき素材は無いって言ってたけど」


 「いや、無いと思ったらあった。ほれ、地面にいっぱいあるだろ」


 「え、地面って……土?」


 「そう。どうやらワシの種族は土の魔法に長けてるようで、土を粘土みたいにして成型して固めることが自由自在に出来るようになったぞ。そうしたら、この通り、簡単な装備が出来上がり、ってわけよ」


 そういってカルドは半身をそらし、背後を見せる。そこには盾と斧が置かれていた。


 「どうだ?みんなの武器も揃えたら、結構いい感じにならんか?」


 「なるよなる!ちょっと触っていい?」


 カルドに許可をもらって、僕は触れる。しっかり作られている。持ち上げてみるがそんなに重くも無い。


 「すごいねこれ。土から作ったっていうのに結構軽くないか?」


 「ああ、余分な水分やら何やらは全部排除したからな。

  しかし作るのは楽しいな。久しぶりに心から楽しいと思えたぞ」


 ガハハとカルドは豪華に笑う。

 こんなに笑うカルドは初めて見た。


 皆んな向けにどんな装備を作ってもらおうか考えつつ、僕は近日中に森の中を探索する決意した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ