005
人間のイリアーー特に特徴がなく身体能力も僕らより下だ。少し知恵がきくぐらいだと思うけど、本当にそれ以外の特徴はない。強いて挙げるなら、可愛い。
「うん。可愛い」
「ん?何か言った?」
「いいや、何も」
「ところで、私は何をすればいいのかしら?」
「イリアは……うーん、何ができそうだろう?」
「掃除!ご飯作ること!マッサージ!」
「そうだよね。他にはないかな……」
「うーん、破れた服を縫ってあげることができるかな」
「うん、いつも有難うね。じゃ、イリアはそのままでいっか」
「えー、私も何かしたい」
ブーブーと抗議の声を上げるイリアだが、如何せん得意な部分がないので仕方ないと思う。
「まぁまぁ、皆んなで協力すればいいから、イリアはイリアで出来ることを少しずつやっていく感じにしよっか」
「うー、そうだね。探してみるよ」
イリアはよし、と両手をグーにして顔前面に構えてやる気を出すポーズをする。
この時の僕は皆んなで協力していけばいいんだから、イリアに出来ることがなくても、気にすることもないだろうと思っていた。
この後にイリア無双が待っているとは微塵も考えていなかった。
「ところで、アルフはどうするの?」
「僕?僕はねーー」