002
まずは得意な能力を把握すること、そしてこの一年間はその能力を活かし、連携を取ることに注力するべきだと考える。
家の外が静まり返った夜の中、僕はするべきことを話す。
獣人のウーフーー彼の一番の特徴はその素早さだろう。誰よりも速く、また爪が鋭いため先制攻撃に向いている。
「ウーフ、君は毎日ダッシュの訓練だ。持続力はいらないから、どれだけ瞬間的な速さが出るかを重視するんだ。」
「分かったけど、意味あるのかな。俺、もう十分に速いと思うんだけど」
「うーん、効果については正直分からないけど、やらないよりかはやったほうが、意味はあると思うんだ。
何もしないより筋肉の量はアップすると思うし。」
「……分かった。やってみる」
「それと、ただ走るんじゃなくて周りに注意しながら走ってほしい。空に鳥はとんでいないか。海に魚が泳いでいないか。視界を広げて動くことができると、対応力も増すはずだ」
ウーフは頷く。
ヴァンプのエルドーー彼は索敵能力に長けている。自身を霧にかえ隠れることもできるし、生き物を探知することもできるようだ。
「エルド、君はどれだけの範囲だったら生き物を見つけられるの?」
「ん。7m」
「じゃあそれを5倍程度に伸ばしたいんだけど、どうだろう?」
「……普通、無理」
「うーん……最初から7mだったの?」
「成長、した」
「成長か……。もしかして、何回も使ったりして成長した?」
「そうかも、しれない」
「よし、じゃあこれからは毎日使おう。それで一ヶ月後に様子を見て、のびてるか確認できたら引き続きやっていこうか」
「分かった」