4
...母親が死んで心が死んでいた俺は、怒りに任せてとんでもない暴言を吐いてしまったのだ。
「あ...え...?」
あの時の彼女の何とも言えない表情を覚えている。
しかしかなり昔のことだ。今となってはもう忘れられているに違いない。
「すまない。...まだあまりあそこに行きたいとは思えないな。」
「...まあ、そうだろうな。いや、すまない。この話は忘れてくれ。」
ゼンが若干申し訳なさそうに話しかけてくる。
まったく、こんな調子で日も暮れている事だ。...いつもの宿に帰るとしよう。
...その前に、1杯、やっていくか。
「マスター、いつもの。」
「ああ、エーベルトか。今日もまたえらく疲れた顔してやがんな。ほら、こいつはサービスだ。」
酒場でいつも通り夕飯とエール酒を頼む。酒場の主人ががくれた揚げ物が思いの外うまい。
「...こんな毎日で俺たちはやっていけるのかねえ...」
「知るか。そんなの明日じゃねえとわかるはずねえんだ。」
「それもそうか。」
向こうのほうでは若者が騒いでるのが見える。俺にはあんな時代はなかったな。
「おう、今日もお疲れさん!」
行きつけの宿に戻るといつも通り宿の女将が元気に話しかけてくる。
「いつもご苦労さん。...それじゃあ、今日も一泊させてもらうとしよう。」
「毎度あり!...ほれ、いつもの部屋だよ。」
女将から鍵を受け取り、そのままの足で寝床についた。
.......。
...やっと、俺ちゃんの出番だ。
???「さて、誰が登場するのか。おたのしみに。」