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予想外だ。イザーシャがまだ逃げる体力を残していたらしい。脱兎のごとく部屋から出ていくイザーシャ。
「(まずいまずいまずい!...あんな化け物、私1人で太刀打ちできるわけないでしょう!?すぐにほかの〈13王〉に知らせなくては...)」
イザーシャが走りながら考えを巡らす。どうにかしてほかの〈13王〉と通信ができる〈光の間〉まで逃げなくては...あった!
「(早く...起動して!)」
特別に改造された通信の〈魔導具〉に魔力を注ぐ。...認証が解除された。やっとだ...これで...!
「おい!いきなり逃げ出すとはいい度胸だな?...今度こそ質問に答えてもらうか!」
「(まずい...ここまで身体強化を最大限して走ったのにもう追い付かれたの!?)」
「又三郎、もう一度あいつを風で...」
「ああ、わかった。...ふっ!」
「(クソッ...このままでは...)〈13王〉に緊急伝令!危険度Sランク〈災厄〉が人間へ憑依しています!現在交戦中ですが歯が立ちません!警戒態勢を...」
そこで風がイザーシャにまとわりつく。ここまでだ。
「...で、でんれ...い...赤...の魔石...し、死守し...て...」
しつこいな。そうだ。いいことを思いついた。
「なあ、又三郎、...こいつをこの風の中に永久に閉じ込めることってできるか?」
「ああ、それなら僕じゃなくても...キミの魔法にもそんな魔法があるはずだよ?」
そうなのか?...おい、ベリト、そんな魔法あるのか?
???「さて、何をするつもりなのでしょうか」