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パタン。
「さて、どこから話しましょうか...」
イザーシャは部屋のテーブルに置いてあった蝋燭に火をつけてこちらを見据える。
「...前起きはなしにしましょうか。...この石を見てください。」
そう言って彼女は紅い半透明の石をとりだした。
ん?俺ちゃんこれに見覚えがあるぞ?もっと見せろ。
は?いきなり何を....
いきなり視界が真っ暗になった。体がまるで水に浮いてるような浮遊感がする。...力が入らない。
「ほお...人間、お前、面白いものを持っているな。俺ちゃんの魔石のかけらじゃないか。」
声がどこかから響いてくる。俺の声だ。
「...やはりですか。...この人に憑依している理由は何です?人間に憑依できるほどの力を持った悪魔はなかなかいない。...そう、〈災厄〉くらいしか。」
今度はイザーシャの声が聞こえてくる。待て、〈災厄〉だって!?じゃああいつは...
「なるほど。ただの人間じゃなさそうだな。ああそうだ。俺ちゃんは悪魔序列28番のベリト。魔侯爵ベリトだ..それで、俺ちゃんをどうするつもりだ?」
「...まだ力が完全に復活していないうちに殺すまでです。くらいなさい!」
びちゃ、という液体がこぼれる音が聞こえる。
「ああ?なんだこりゃ?こんなものでっ...!?何をした!?...魔法が使えねえだと!?」
「あなたの魔力の流れをエーベルト様本来の魔力回路に繋げました。これで魔法は永遠に使えなくなりましたね。...どうします?」
「...お前、こいつを相当敬愛しているようだが、果たして殺しちまってもいいのか?」
「ああ、それでいしたらご心配なく。...私、こう見えて仕事優先の女ですから。」
「...ああクソッ!めんどくせえ!」
???「何やら雲行きが...」