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「いえ...少し妙なことが...エーベルト様の中に魔力の流れが2つあってお互いに牽制しあっているんですよ。とりあえず右のに魔力を流してみますね。」
「ああ、頼む。」
ああ、やっと浮上できた。
...なんだって?俺の頭の中で声がする。俺の声だが、微妙に雰囲気が違う。何より、俺の意志と関係なく動いている。
ごちゃごちゃうるさい。俺ちゃんはやっと自我を顕現できるようになったんだ。仲良くやろうぜ?
だから誰だ。俺の頭の中が混乱するから一旦話をやめろ。お前の考えていることが頭に浮かんできてうざったい。
いやそんなこと言われたって無理だろ。俺ちゃんはお前の自我が分かれてできたんだから、お前が考えを読めるのは当然だろ?
ああ?なんだ?お前のその貧相な精神で俺に勝てるわけないだろ。
ああもううるさい!お前、さっきから俺の考えを読むな!
はいはい、わかりましたよ。俺ちゃんがもうひと眠りしてくればいいんだろ?
そして頭の中で並行して動いていた"何か"が消えた。
「...様、エーベルト様?」
「!ああ、すまん、ボーっとしてた。」
「治療終わりましたよ。ついでに効果を確認したいのでしたら、あそこの《診察》の魔導具を使ったらどうでしょう?私が魔力を流せば、無料で使えるように設定しているので、お金はいらないですよ。」
タダなら断(以下略
そして確認したステータスは、
エーベルト 男 冒険者
体力 D 50/50
魔力 E 12/9 (300/300)
知力 C
技能 C
俊敏性 D
運 D
「すごい、体力が回復している。ありがとう。」
そう言ってイザーシャのほうを振り返る。
「え...魔力300でE判定?しかもカッコ表記...どういうこと?」
何やら驚いている。
「...こちらへ。」
そういうと彼女は私俺をまた別の部屋に案内していった。
???「別室って怖い。(カイジ感)」