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やあ、読者の皆さん。私は、この世界の管理を任されている者でね。
あなた方にとある冒険譚をお伝えしよう。
30を越した低ランクのおっさん冒険者エーベルト。
ひょんなことから肉体に刻まれていた前世の記憶を呼び起こし、記憶から偉人達の言葉《言霊》を引き出して使えるようになる。エーベルトが英雄となるまでのお話を、私がかいつまんでお聞かせいたしましょう。
気が付くと男はまたそこにいた。幾度となく見た齢10ほどの少年が真っ青な顔をして走ってくる。
どこに走っていくのか、なぜこんな嵐の中一人で...と、男は少年に手を伸ばして聞きただそうとした。
しかし少年は気づいたそぶりも見せず、男の手をすり抜けていく。男は少年の後を追って走る。
まさか、嫌だ、夢であってくれ...
そして不意に少年が立ち止まった。そこには焦げたがれきの山が積み上げられている。
ああ、嫌だ、見たくない、もうやめてくれ...十分だろう...?
男も少年から暫く離れたところで立ち止まる。幾度となく見たその光景が、今日もまた、繰り返される。
少年が血と灰で散々な色をしたぼろきれを震える手で持ち上げる。そして呟いた。
「...母...さん?」
朝日が差し込んでくる。...またか。何度俺を苦しめれば気が済むのか、とぼやきながら夢のせいでいつもと同じく一切疲れが取れていない体を起こした。
さて、仕事行くか。
「よお、エーベルト!今日もまた一段と死人みたいな目ぇしてんな!」
「...うるさい。」
ギルドに向かうといつものように顔なじみのギルド受付員が話しかけてくる。真面目に相手すると疲れるので軽く流すことにしている。
「そんで、今日もまた薬草採取か?...まあここ十年それ以外受けてないんだし、やってくれないと困るんだがな。ほれ。」
受付員のゼンから渡された依頼を素直に受け取る。
俺みたいな生まれが悪い奴には、こんな仕事につくほかに生きる道は少ない。後ろ暗い職業をするか、ゴミを漁るかだ。
そこそこの家に生まれれば、商人や、うまくいけば町の役人。高純度魔力持ち...奇跡でも起きない限り、俺達には縁のないことだが、稀に生まれてくる生命余過エネルギ―...つまり魔力の最大量が大きい人間が
生まれてくる。そんな人間は魔法使いや神官として、俺たちの倍以上の給金をはるかに短い時間で稼ぐ生活をしている。
冒険者の中には、この国に千年以上前からあり魔王が住むとされているダンジョンを次々に攻略していくトップランカーの冒険者である〈先駆者〉や人間の領域をはるかに超えた〈超越者〉、
神の恩恵を受けた〈聖人〉なんてものまで様々だ。
しかしそんな奴らでさえ一瞬で滅ぼしてしまう〈災厄〉と呼ばれる魔物たちが各地のダンジョンに眠っているのだからどうしようもない。
一番新しい記録では一千人の魔導士の命を動力に〈災厄〉を打ち滅ぼす魔法を発動して、やっと〈災厄〉を屠ったという文献が残っている。
魔王は居るが、勇者は居ない。そんな世界で、そんな仕事だ。俺たちが一生かかったって、もうあの町のやつらには追い付けない。冒険者...特に俺のような最低ランクであるDランクの冒険者は、
依頼を受けるためにギルドに出向き日銭稼ぎで精いっぱいの生活を送っている。無駄遣いしなければたまにエール酒くらいは飲めるが怪我などしようものならそこでのたれ死ぬのが関の山だ。
ダンジョンの第二層で薬草を刈る。腰ほどの背丈に伸びた雑草をかき分けて薬草を探していくこと数時間。
「そろそろ見つかってもいいころなんだが...」
俺は依頼の薬草の最後の一本を見つけられずにいた。クエスト失敗なんてしようものなら、今日の飯はお預けになること間違いなしだ。そろそろ日が傾いてきているので目がつらい。
若いころはこうはならなかったんだが...
ガキン!
???「作者、君ほんと文章力ないよね。」
クロスケ「すいません...」
???「まあいい。私が管理してあげよう。」
クロスケ「あのちょっと」
???「それじゃあ皆さん、今からクロスケではなく私がこの作品を管理させてもらうよ!よろしくね!」
クロスケ「おmg」