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遅くなりすみません!!
読んでいただきありがとうございますm(._.)m
あの後、わっちゃわっちゃ皆んなで楽しんでから帰りました。
あ、後片付けも勿論しましたよ?
そうやって、テストもパスして文化祭も終えたら後待っているのは…そう、サマーバケーションです!!
夏休みです!
「リリー!」
「あ、カイリ!!」
「今日出るの?」
「うん。じゃないとみんな領地行っちゃうし、弟妹にも早く帰って来いって急かされてるしね。」
「ソフィーも昨日行っちゃったし、リリーも行っちゃったら私、ぼっちだよー。邪魔だから死者の弔いまで帰ってくんなってさー。」
「がんば!」
「一言で済まさないでー!さみしー!」
「私も行かなきゃ行けないの。ごめんだけど、もう出るよ?じゃないと野宿になる…」
「あ、それはヤバいね。行ってら!」
「ほーい。行ってきまーす。」
今の会話で察してくれた人も居ると思いますが、私たちは普段寮で寝泊りしてます。
そして、年に3回の春、夏、冬休みのみ自分の家に帰れるのです。
つまり、今日はお家に帰る日なんです。
あ、ちなみに死者の弔いと言うのは、お盆のようなものです。
私は別に帰らなくても構わないですが、下の2人の弟妹が帰ってきて遊べとしつこいのと、両親からSOSが飛んで来たので、帰らなきゃなんないんですよね…
「お嬢様。お久しぶりでございます。」
わ!ぼーっとしてたから、目の前にラナンがいたのに全く気づいてなかったです!
びっくりしましたぁ…
「ラナン!来てたの?」
「はい。道中お嬢様の身の回りのお世話をするように申し使っております。」
ええ…自分の事くらいは自分でできるんですけど…
というか、普段自分でさせてもらえない分、道中くらいは自分で自由にしたかったんですけど…
でも、そうするように言われてるなら仕事を奪っちゃダメですよね。
仕方ないですよ…はぁ…
「とは、言いましたが、奥様より別に本人が望まないのであれば、自由にさせなさいとも申しつかっておりますが、どうされますか?」
え?本当ですか?!
お母様ナイスです!
「え?本当?!じゃあ自由にしたい!!」
「かしこまりました。」
「その間ラナンも好きにして構わないから。わざわざ来てもらってごめんなさい。」
「構いません。ラナンはお嬢様にお友達ができた事を確認できて安心しました。」
「…なんで?」
心配されるような事しましたっけ?
生徒会で酷使されてるのは、お父様達には言ってませんし…
「お嬢様は貴族としては少々変わっておられますから。」
え?変わってます?
お貴族様ってこんな感じじゃないんですか?
「普通の貴族の方ならば、学校に使用人を連れて行くのは当たり前ですし」
あ、そうなんですか?
だから、謎に使用人連れてドヤってる人がいたんですね。
身の回りの事自分でできませーんって言いふらしてるのに、なんでドヤってるのか理解できなかったんですよ。
なるほどです。あれは権力の象徴な訳ですか…
「普通の貴族の方ならば、私たちが身の回りの手伝いをしたとしても、感謝なんてされません。」
え?そうなんですか?!
貴族の方って、自分の事手伝ってもらったのにお礼も言わないんですか?!
それ、人間としてどうなんでしょ?
どうやら私は貴族の文化に肌が合わないみたいです。
だとしても、ひとつ疑問があるんですよ…
「じゃあ、なんでお母様達はラナン達に対してお礼を言ったりするの?」
お母様やお父様も、ラナン達使用人さんを労ったり、お礼を言ったりしてます。
だから、貴族ってこんなものだと思ってました。
「お嬢様が幼少の頃より、私たちに対して感謝されるので、自分よりも幼い子ができる事を自分達ができていないと痛感されたようです。」
あ、なるほどです。
要するに、幼稚園児でもできる常識的な事を、大人である自分達が出来ていない事を恥じたんですね。
でも、そうすると今度は貴族から浮きますが…
やっぱりお母様達も、そこそこ変わってるんじゃないですかね?
「お嬢様の働きかけによって、エクステリアス家は使用人界隈ではかなり有名な、好条件の職場です。」
「あ、そうなの?知らなかった…」
「ご存知なくて当然です。お嬢様が幼少の頃に、旦那様が環境改善をなされましたから。」
「…お父様が…」
まあ、あの娘溺愛お父様なら、娘がした行動にいちいち痛く感動して、行動起こしそうですけど。
「今では、休みが週2日取れてまかないもしっかり出る上に、折檻や暴言、暴力といった事もなく、残業なし病の場合は手当てがでる、それでいてお給料は高いという、好条件に好条件の上塗りをしたような感じです。」
わー。ソレハヨカッタデスネ。
しっかりがっつりホワイト企業ですね。
はい。
まあ、労働条件が整っている事が、いい仕事に繋がりますしね。
「私、全っ然知らなかったんだけど…」
「旦那様はあまりそう言う話を好まれれませんから。」
「…確かに、子供の前であんまりそういう話しないわね。」
まあ、タグラスが相応の年齢になれば分かりませんが。
それなりに領主教育されると思います。
「リリー様、着きましたぜ。」
「あ、本当?教えてくれてありがとう、ユン。」
「お安い御用ですぜ、リリー様。扉開けますよ。」
ユンは扉を開ける前に教えてくれるから、ありがたいんですよ。
人によっては着きましたの一言もなく、いきなり開けるので、めっちゃビビります。
あ、ちなみにユンはうちの御者さんの1人です。
言葉遣いが雑なのは許してあげて下さい。
気が抜けてるんです。
お父様がいる時にはちゃんとしてますよ?
「さ、リリー様おりましょう。」
おっと、ラナンの声かけがなかったらうっかり降りないところでしたね。
危ないです。
「教えてくれてありがとう、ラナン。」
「いえ。さ、どうぞ。」
馬車から降りたら久しぶりの外の空気です。
胸いっぱい吸い込みましょう。
…深呼吸ですよ…
「おねーさまー!会いたかったです!」
わっととと!
タグが弾丸のようにやってきました。
いきなりぶつかられたのでよろけちゃいましたね…
「おねーたまー!アンもあいたかったよ!」
わっ!
今度はアンですね。
こっちは可愛らしい勢いなので、大丈夫ですよ。
「アン、タグ。リリーに会えて嬉しいのは分かるけど、もう少し落ち着きなさい。特にタグラス。貴方、もう軽いわけじゃないんだから。リリーよろけてるわよ。そろそろ貴族教育も始めるし少しは自制しなさい。」
わー帰って早々お母様のお小言が聞けましたね。
ウレシイデスネー。
その後ろで教育係の方が凄い勢いで頭を下げているのは、見ないことにしましょう。
貴族とは言ったって、タグはまだ5歳です。
甘えたい盛りですもの。
今日くらいはいいじゃないですか。
…とはいっても5歳児の勢いは半端ないので、弾丸スピードでレッツゴーするのは、辞めてほしいですけど。
「はい。気をつけます。お母様。お姉様、先程は取り乱してすみませんでした。おかえりなさいませ、お姉様。お帰りを心待ちにしておりました。」
おっと、タグが頑張って正式な挨拶に近づけてきましたね。
本来なら姉弟ですから、おかえりーでいいのですが、ここは付き合ってあげましょう!
「ただいま帰りました。おむかえ頂き心より感謝申し上げますわ。」
お、嬉しそうに笑いましたね。
最近礼儀作法のレッスンをしているみたいですから、実践できて嬉しいのでしょう。
「おねえさま。おかえりなさいませ!アンね、ずっとまってたの。」
「そう?ありがとう、嬉しいわ。ただいま、アン。」
アンも精一杯挨拶してきたので、返しました。
んん!
可愛いです!弟妹が可愛いです!
しばらく見ないうちにだいぶ大きくなったみたいですが、可愛さは現在ですね!
良かったです!!
「おかえり、リリー。帰ってきたばかりなのにごめんなさいね。ラナンもユンもありがとう。」
「「いえいえ、ありがたいお言葉です、奥様。」」
「ただいま帰りました、お母様。大丈夫ですよ。苦にならないので。」
「帰りもちょっと急かしてごめんなさい。本当は、もう少しお友達と過ごしてもらいたかったのだけど…」
「いえいえ。もう生まれ月も近いですし、お手伝いできるなら光栄です。」
「そう?ならお願いするわ。」
今の会話で大体察してもらえたでしょうが、私がこの夏休みに実家に帰ったのには、理由があります。
もちろん、タグやアンに構うためもありますが、1番はこの夏に新しい妹が産まれるからです。
その間ちびっこ2人を構ってあげられる人員のために、私が呼ばれました。
呼ばれたときは、転生したからませているとは言え、10歳の女の子に頼むかなーとは思ったんですが、確かにこれは10歳の女の子でも必要ですね。
ちびっこパワー強いです。
しばらく離れてたから忘れてました。
「お、もう帰ってたのか。」
「あ、お父様、はい。ただいま帰りました。」
「お、ご苦労だったな。すまないな、ラナン、ユン。今日は下がれ。」
「「ありがたいお言葉です。」」
「リリー様、申し訳ありませんが下がらせていただきます。」
「ええ。ありがとう。ご苦労さま。今日はゆっくり休んでね。」
「ありがたいお言葉です、リリー様。」
ラナンとユンは長い…とはいえないけれど短い訳でもない道のりに、付き合ってくれましたから。
今日はゆっくり休んでもらいたいです。
「リリーも疲れただろう?今日はゆっくりしなさい。」
「いいえ。全然大丈夫です。この通り元気です。」
証拠にくるっと回ってみせます。
さすがにこれは怒られるでしょうか…
っと、お父様は安心したようにニコっ…じゃないデレっとしました。
大丈夫そうですね。
お母様は…眉を吊り上げられておいでです。お怒りですね。これは、後々お説教コースですかね?
「リリー、元気なのはいいけれど、はしたない真似は辞めなさい。」
「はあい、お母様。」
「返事はしっかりと。」
「はい!」
お母様怖いんですよね。
普段は温厚で優しくて、大好きなんですけど…いかんせん怒ると鬼のように怖いです。
…まあ、どこのお母さんも一緒ですかね。
「まあまあ、いいじゃないか。マリー。今日くらいは無礼講だ。」
「…まあ、確かにそうですね。今日だけですよ?リリー。」
「はい。」
ラッキーです!
お父様優しいですもんね!
ちなみに、マリーというのはお母様の愛称です。
マリネティアっていう名前なんですよ。
お父様はグリタティネスです。愛称はあんまり聞きませんけど、おそらくティネスです。
お母様とお父様が2人きりの時、お母様がそう呼ぶのを聞きましたし。
「リリー、タグ、アン、お腹空いただろう?昼食にしよう。マリーも。」
「はあい!」
「分かりました。」
タグとアンが可愛らしい返事をしてこちらに来ましたね。
…と、お母様がなかなか来ませんね。
怒ってらっしゃる…というより拗ねているのかもしれないですね。お父様に窘められちゃいましたし。
「マリー…」
お父様が弱ったようにお母様のところに行きましたね…
なんやかんや言ってもお父様、お母様に甘いですし。
…前にお母様が、弱い女の子のフリをしなさいって言った事を唐突に思い出しましたね。
…まさか…そんな訳ないですよね?
ってそんな場合じゃないです!
「タグ、アン。お腹空いたでしょ?お姉様空いちゃったなぁ。だからさ、早く行こうよ。」
「うん!」
「お姉様、こっちです!」
早めに小さい子は遠ざけちゃいましょうね。
親のイチャイチャなんて見たくもないでしょうし。
…お父様も真昼間からイチャイチャしないで頂きたいんですけど…
え?私も子供ですか?
いやいや、精神的にはとっくに100歳越えですよ。
一通り経験済みですし。
あ、まあ、今世ではまだ10歳なのでそんな事ないですけど。
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この後、すぐに仲直りした両親がやって来て食事会を済ませたリリーは、弟妹と心ゆくまで遊んだ後、3人仲良く昼寝をしたらしい。
そういえば、総合が200超えてました!
ありがとうございます!!