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押入れ、ダンジョン、愛、無限(仮)  作者: 凸レンズ
ダンジョンと出会い
6/20

6. 質問タイム

「ガツガツ。魔素がないですけど、貯めてた分でなんとかなりますね。意外と。」


 そういえば、まだ気になることが一つあった。それは当たり前すぎて戻ってくるまで忘れていた。


「ムシャムシャ。だな。」


なぜそのダンジョンの末端の一つに俺の家のが繋がっていたのか、だ。


「ドルトン様、これチョー美味しくないですか!?」


気になることはもう一つあった。


「うまい!このチャーハンとやら、死ぬほどうまいぞアルト!」


なぜ俺がこいつらにチャーハンをご馳走しているか、だ。しかもこいつらテーブル挟んで食べながら大声で会話してるから厄介すぎる。


「やっぱり博之のチャーハンは最高ね。」

「おいお前ら、俺の話聞いてたか?」

「「「全然」」」

「はいキレた。」

「博之おかわり。」

「もう米ねえよ!」

「いやはや、こんなに美味しいものをご馳走いただけるとは、長生きするもんですな!ガハハ!」

「もぐもぐ。知ってる事、なんでも話してあげるよ!」


ん?じゃあなんでも聞いちゃおうかな。


「どーんときなさい!」


この時に聞いた質問のリストは以下の3つである。


Q1. なぜわざわざ俺の押入れがワールドツリーなるファンタジーまっしぐらの代物と繋がってしまったのか。


Q2. なぜ魔素がないここで意思疎通が可能なのか。


Q3. この押入れからドラゴンとか魔人とか超強い魔物が現れたりしないのか。


それに対する回答は以下である。


A1. たまたま。


A2. 魔素は貯蓄ができる。例えばピッキーなら3日分くらい、アルトなら2ヶ月くらい。


A3. 扉はこちらからではないと開かないので、無防備に開けっぱなしにしたり、開けた時に運が悪くなければ強い魔物に襲われることはない。ちなみにこの辺は比較的平和で管理もしっかりしているそうなので強い魔物はほとんどいないらしい。


その後もドルトン達と会話を続け、およその世界の仕組みがわかった。


『ワールドツリー』


それは世界と世界を繋ぐダンジョンであり、無限に広がる大迷宮である。その末端の世界の一つに、我々が住む地球、いや宇宙があるらしい。ダンジョン内の会話からも分かるように、地球と同じか似たものから構成された世界もあるらしいが、全く異質のもので構成された世界もあるらしい。ドルトンはワールドツリーに点在する魔素の根源を中心に、東西南北4分割して管理をしている。その西を任されているのがドルトンらしい。つまり、チャーハンに感動しているこのおっさんはダンジョン内ではそこそこな地位を持っていると思われる。アルトの方は龍戦士とか言ってたし強そうだから、多分こいつらはエリートなんだろう。


「博之殿、こちらからもいくつか質問いいですかな?」

「もちろん。」


ドルトンの質問は以下の通りである。

Q1. この世界を自分の目で見て楽しみたいので外へ出たいが、それは可能か?


Q2. チャーハンの作り方


Q3. チャーハンよりも美味いものは存在するか?


それについての俺の回答は以下の通りである。


A1. この世界のうち我々がいる地球という星は人間という種族に支配されており、2人は隠密に行動しないと異世界人だとバレてそれが知れ渡って俺も含めてめちゃくちゃめんどくさいからやめてほしい。


A2. 略


A3. もちろん存在するし、チャーハンはそれに比べたらきっと大したことない。むしろチャーハンでこんなに喜ぶなら日本のもっと美味い料理を食べさせたらどうなるのか、気になるところではある。


「左様か。最近仕事が単調で退屈だったから異世界で遊び呆けたいところだったんだがな。どうにかならぬか?」

「とりあえず服装。ドルトンさんはそのうさんくさいローブ、なんとかしましょう。アルトさんはそのドラゴンを模したと思われる真紅の防具、肌の露出も多いしめちゃくちゃ目立つのでどうにかしましょう。」

「ワタクシ、服はこの一種類しかございませぬ。」

「私もこれしかなーい。」

「……とりあえず今は外に出せないです。」

「ぐぬぬ、ワタクシは諦めませんぞ。未だ見ぬチャーハンを超えし料理を求めて。」

「私も諦めなーい!あ、ドルトン様。そういえばモニタールームから連絡無いですね。」

「いけね!通信石はどこだ?……走ってる時に落としたわ。」

「でもこの辺にあるみたいだよ。」


ドルトンとアルトは何やら落し物をしていたような。


「探し物?」


ピッキーが口を挟んだ。


「石なんだけど、通信機能付きの。」

「エンチャントされた石ならさっき拾ったわよ。帰り道のヒフキソウが落としたよって教えてくれた。」


話に夢中で気づかなかったが、そういえばピッキーは帰りは自分で移動してたな。


「おお!ありがとうございます!まさしくそれです!」

「ちゃんと小さい魔物の声も聞いてあげてください?」

「かしこま!」

「ドルトン様、素が出て来てますよ。」

「おっと。えー、ではお二方。博之殿、この度は美味しいチャーハンのご馳走、並びにスライムの保護とありがとうございました。ピッキーちゃん、石、ありがとうごさいます。」

「いえいえ、こちらこそピッキーと会えてよかったです。」

「どういたしまして。」


彼らのおかけで押入れの先の世界を知ることができた。そして世界の真理の一端も。俺は自分が如何にちっぽけかを再認識できた。しかし、実感はまだしていない。それをするために、人生の夏休みを有効に使って異世界とやらに行くのも一興かもしれない。


帰り際にドルトンが一言。


「さて、我々はもうお暇致しますが、その前にもう一つ質問を。」

「どうぞ。」

「また遊びに来てもよろしいですか?」


ノー、と答えるわけがなかった。


「もちろんですよ。今度はもっと美味しいものを食べましょう。」

「ガハハ!その言葉、絶対に忘れませぬぞ!行くぞアルト!」

「はーい。じゃあまたねー!」


彼らはダンジョンに消えていった。それを見届けて、襖を閉める。部屋には、先ほどの喧騒などなかったようにピッキーと俺しかいなかった。しかし、テーブルを見ると4人分の食器が残っていた。彼らが存在した証拠である。これから騒がしくなるぞ、と心の中で唱えると、めんどくさいと思う反面、ワクワクしている自分がいた。


---


アルト【龍(戦士)】


生命力 350

身体能力 46

知力 28

魔力 50

愛 30


【紅蓮】

類稀なる炎の達人に贈られる称号


【おてんば】

おてんば娘に贈られる称号


ドルトンの右腕、というほど従順ではないが、ダンジョン内の地位的にはそれくらい。ほんとは事務よりも体を動かす仕事がしたかったが、龍はエリート中のエリート種族なので重要な西のモニタールームの仕事を任されてしまった。


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