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押入れ、ダンジョン、愛、無限(仮)  作者: 凸レンズ
ダンジョンと出会い
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5. いざ、ダンジョンへ その2

 改めてダンジョン内をよく見ると、ここはとても不思議なところだと思えてくる。まず、灯がないのにある程度は周りが見える。壁や床がほんのり光っているからだろうか。そして天井がない。入り口(押入れ)の近くにはあったが、離れるにつれて気がついたら上は漆黒の闇に包まれていた。


「一体、ここはどこなんだろうな。」

「さあ?」

「ええ?ピッキーなら何か知ってるんじゃないか?」

「そうね、とにかく広いことと、行き止まりには何かある。それくらいしか知らないわ。」

「行き止まり?」


そう俺が問いかけた瞬間、ピッキーがピシャリと言い放った。


「静かに。……誰か来る。」


タタタタッ


確かに、二人分ほどの駆け足が近づいて来るのが分かった。俺はピッキーを少しだけ強く抱いて身構えた。しばらくすると、ダンジョンの奥から薄っすらと人影が見えてきた。真紅の防具を身につけた如何にも冒険者のような女性と、紫色のローブを身につけた初老の男性だ。戦士と魔法使いのパーティだろうか。


「はぁ、はぁ、はぁ〜」

「めっちゃ疲れた……」


魔法使いは体力がないのが通例だし、初老と来たらそりゃ疲れるだろう。しかし、健康的な体つきの女性の方も息を切らしていた。


「うっぷ。ドルトン様、あとはお願いします……」

「はぁ、お前、ほんと体力ねえな。はぁ、それでも、あ"〜、現役の龍戦士かよ、はぁ。」


二人の息が落ち着くのを待ってやると、男性の方が話しかけてきた。


「いや〜お見苦しいところをお見せしました。ワタクシ、このダンジョンの西ブロックを任されております、ドルトンと申します。元魔術師です。以後お見知り置きを。」

「私はアルトといいます!龍戦士です!炎を扱うのが得意です!よろしくお願いします!」


………


……



無言の間が辛かった。


俺はピッキーと小声で話した。


(やばい、わからない)


(わかる)


(魔術師ってなに?)


(わからない)


(じゃあ龍戦士は?)


(しらない)


(Oh……)


(そもそもあなたと会話できるほど知力がついたの最近だし、あなたに会う前のダンジョンの生態はほとんど覚えてないわ。とりあえず、博之も自己紹介、しとこう)


(確かに。名乗られて名乗らないのは礼儀がない)


(うんうん)


「えー、僕の名前は藤井博之といいます。大学では物理を勉強しています。卒研も就活も無事終わってゆっくりしているところにコイツがきました。ピッキー、次どうぞ。」

「スライムのピッキーです。壁で体当たりの練習をしていたらこの方の世界にいました。好きな食べ物はチャーハンです。よろしくお願いします。」


………


……



このダンジョンにはどうも天候があるらしく、今は多少風が吹いているが、その風の音が無言を恐ろしく強調してくる。あちらも耐え難かったのか、今度は彼らがコソコソ話始めた。


(おい、アルト。就活ってなんだ)


(知りません。ところでドルトン様はチャーハンってご存知ですか?)


(知るわけないだろ)


(ですよね〜)


(しかしチャーハン、気になるな)


互いに五厘霧中の状態のようなので、俺から声をかけることにした。というより、聞かねばいけないことがいくつかあった。


「えーと、ドルトンさん?ここってなんなんですか?」


(やばい!話しかけてきましたよ!お願いします!)


(ま、任せろ!)


「えーコホン。ここはだな、世界と世界を繋ぐダンジョン『ワールドツリー』だ。君の住んでいる世界も、このワールドツリーの枝の先の一つなのだ。」


「そうなんですか。」

「そうなんです。」

「ほんとに?」

「ほんと。」

「ちなみに他の世界はどのようなものがありますか?」

「……海ってご存知ですか?」

「もちろん知っていますよ。」

「例えば、海しかない世界とか、海のない世界があります。」

「へぇ〜。」

「まあそういった極端な世界もあるわけですが、実はあなたの世界もその極端な世界の一つなのですよ。」

「何がないんですか?」

「魔素ですよ、魔素。我々の生命の根源、魔素がないんです。」

「こいつから聞きました。魔素は魔物が生きるために必要不可欠だって。」

「なら察して欲しいんですけど、そのピッキーちゃんはなんで生きてるんですか?」


・・・。


「確かに!お前なんか具合悪いところとかないのか!?」

「大丈夫。博之いっぱい食べ物くれたから。でも、ラー油はちょっと辛かったかな。」

「あれはごめんて。」

「ほう、食べ物ですか。我々はダンジョン暮らしが長いので食べるという習慣がありませんでしたが、食料を持ち込めばよかったわけですか、なるほど。我々は魔素のない世界を些か恐れすぎていたようですな。博之さん、どうもありがとうございます。」

「いえいえ。とりあえず僕から以上です。」

「じゃあ私からもいいですか!?」

「ワタクシからも1つ。」

「あ、一人ずつお願いします。」

「彼女とワタクシは多分同じ質問でしょう。」

「はい?」


2人はまるで息のあった双子のようにこう言ってきた。


「「チャーハンってなんですか!?」」


なんだよ、こいつら……


---


瞳【人間】


生命力 202

身体能力 31

知力 29

魔力 0

愛 32


男勝りな紅一点。完全に友達として接しているのであまり女性として見ていないが、一応彼氏はいるらしい。ちなみに私、博之には恋人がおりません。現在募集中。


会話回。レギュラーが増えました。気に入りましたらブクマ、評価等よろしくお願い致します。

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