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押入れ、ダンジョン、愛、無限(仮)  作者: 凸レンズ
ダンジョンと出会い
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1. ドラ○もんじゃないぞ その1

 人生の夏休み、これは友人が言っていた言葉だ。就活も卒業研究も無事に終え、キチンと単位を取得して危なげなく卒業した人ならこの言葉の意味が分かるだろう。俺の社会人になるまでのモラトリアムも残すところ2ヶ月となったが、先日卒業が確定した俺は遂に人生の夏休みを手にすることができたのだった。


***


「卒研終了、そして人生の夏休みの開始を祝して〜!」


「「「「「カンパーイ!!!」」」」」


そして、ゼミのメンバーの卒業研究が全員分仕上がったのが今日だった。


ガチャン、ゴク、ゴク……


「いや〜おかげさまで無事卒研達成できました(しみじみ)」


わざとらしい泣き顔でそう語るのはうちのゼミのバカ担当、大輔だ。分量間違えるは薬品こぼすは犯したミスは山のように存在する。しかし、彼の分かってるのか分かってないんだかよくわからないボケで相当笑わせてもらったのは確かだ。


「それな、ほんま俺らのおかげやわ。特に俺。」


こいつはうちのインテリ担当、拓也。実験の指揮を取ったり、みんなのレポートのミスをよく見つけてくれた。実際、彼は卒業研究の達成にとても貢献している。しかしそれを自分で言ってくる辺り歪んでやがる。


「自分で言うからなあ、このインテリクソメガネは。」


と釘を刺しておく。


「オー、ヒロユキ。インテリクソメガネとは、どういうイミなんデスか?」


この質問の主は、決して偶々そこに居合わせた見知らぬ外国人などではなく、我々のメンバーの1人である。片言なのは留学生だからだ。日本語を書くことは人並みだが、聞き喋る方がまだまだ勉強が必要なようで、意味を間違えてとんでもないことを言いだしたりと、それが中々に楽しいやつだった。そんな彼を、みんなはピエールと呼んでいる。


「あー、うんと、そうだな。意外と難しい。……まあつまりヤベーやつって事だ。」


先の質問への解答は意外と難しく、うまくインテリクソメガネを説明できなかったが、とりあえず嘘はついてない。


「ヤベーやつ?……オー、このマエ大輔いってたネ。シメイテハイハン、アレもヤベーやつって。だから拓也もシメイテハイハンなんだネ!アブナイ、ヒャクトーバンしなきゃ!」


俺はテーブルの向かいから、ピエールが慌ててスマホを取り出すのを見た。


「おい!コイツからスマホ取り上げろ!」


ピエールは実際どこまで日本語を分かってやってるのかが分からない。ただ、悪ふざけをするようなやつではなかった。案の定、スピーカーモードのそれは機械音声でこう告げる。


*「……明日は 雨 です。」


「オーノー、明日は雨デース。」


「警察は1、1、0だ!時報やそいつは!」


「こいつらおもしろすぎないかwww」


そういってゲラゲラ笑うのはこのゼミメンバーの紅一点、瞳である。なお、この紅一点は針の穴ほどしかなく、男勝りなところが多々ある。


「あ?お前なんかいま私ディスらなかった?」


「い、いや?」


え、こいつ人の心読めんのかよ。


「そんな悪いやつとは乾杯しなきゃ、杯を乾かすと書いて〜、乾杯ー!」


カチャン


……半分ほどあったレモンサワーが空になってしまった。


「もう、ペースはええよ。あ、りんごサワーひとつ。」


「私は生ひとつ!」


「お前ら空きっ腹でよく行くなあ。フライドポテトとシーザーサラダ。あと唐揚げ2つ。」


「俺焼きそば!」


「タコワサと、熱燗をクダサイ。」


「おっさんか!」


とまあこんな感じで楽しい時は過ぎて行き、終電も近いのでお開きとなった。


「おつかれー、また明日!……って、明日学校ねえわ。」


「せやな。」


「そう思うとなんだか寂しいわ。」


「……」


冬の夜風が、少しだけ強く吹いた気がした。そんな空気を、ピエールが壊してくれた。


「大学がない?滅んだ?大学が滅んでも、ワタシタチの関係はなくなりませんヨ。大学以外でも会えるじゃないですカ?」


「ちげえねえ。」


「ぶっ、あはは。そうね。」


いいこと言ったように聞こえるが、訂正しなくてはならないことが一つ。


「「「大学は滅んでねえ!」」」


満場一致だった。その後も話が弾んだが、寒気に酔いを覚まされた頃、俺達はいよいよ解散となった。


「じゃあ、また。」


「ん、そだね。」


「おう。」


「またな。」


「グッバーイ。」


こうして各自帰路に着いた。


***


 さて、これを読んでいる方は今、大学生の何気ない飲み会の一面を垣間見たに違いない。しかし、先程登場した彼等はこれからほとんど登場しないのであった!


***


 俺の家は大学の最寄り駅から20分ほどの駅、そこから徒歩10分となっている。家に着くや否や、今日の疲れがドッときて、歯も磨かずにベッドへ寝転がってしまった。しかし、目を瞑るもそのまま眠りにつくことは寒さが許さなかった。


「……こりゃ寝れんわ。」


暖房を1時間だけセットし、部屋が温まるまでシャワーを浴びて歯磨きをした。ふう、これで安眠できる。そう思った時だった。


ドコッ、ドコッ、ドコッ


壁ドンのような音が聞こえた。しかしこれは壁ドンではない。なぜなら


ドコン


それは俺の家の押入れから聞こえたものだったからだ。ゾワっとしたものが背筋を駆け巡った。


「なにか、いる。」


まさか強盗?と思ったが、わざわざ自分の存在をアピールする強盗などいるわけがない。放っておくか?いや、そんな訳にもいかない。俺はついに腹をくくるしかなかった。


「えいやー!」


ガラガラガラ!


「ピキー!」


「のわああああ!?」


開けるや否や飛び出してきたのは、俺の知る限りこの世の生物ではなかった。それは某RPGの筆頭雑魚キャラ、丸くて青いアイツを彷彿させたのだった。


ーーー


参考ステータス


博之【人間】


生命力 206 【200】

身体能力 29【30】

知力 32【30】

魔力 0【0】

愛 30【30】


【】内はその種族の平均である。あくまで平均なので、子どもはもちろんそれより低いだろうし、大輔のようなバカは知能が30より低かったりするし、ボディビルダーなんかは身体能力が40をも超えたりする。


事の顛末は用意してありますが、そこまでの道のりは決まっていません。1、2週間に1回更新できたらいいなと思います。頑張ります。あ、初投稿です。よろしくお願いします。


5/25. バナー貼ってみました。

6/8. サークルのメンバーがあまり登場しそうにないので本文にその旨を書き足しました。これからも、この時点では無くした方が、あるいは付け加えた方がいい内容が見つかり次第、少しずつ書き直したいと思います。

6/21 押入れ、青い、丸いから推測されるキャラクターは某ロボットの方が有力らしいのでタイトルを変更しました。

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