第11話(エピローグ)
これで、終話になります(2017年2月17日、ようやく書ききりましたぁ!!あとは、誤字脱字くらい。大筋は完成です)。
それでは、本編へ。。。
【ハーネスの国】、春季の十七日目のこと。
「すみませ~んっ!」
よく晴れた日のこと。城下町の大通りにて。
「通ります、通ります!!」
タカラッ、タカッと。
馬を蹴立てる勢いのままに駆けさせる少年・・・・・・ツムギの姿があった。【冬の女王】の【エルダー】として、さらに近頃は″王族付き身回り師″の一人として。今日も、【ハーネスの国】のあちこちに赴いていたのである。
王様より火急の呼び出しーー″魔法″によって、王様から″声″の伝令が飛んできたのだーーに応じて急ぎ【ハーネスの城】を目指し、しかし道行く人とぶつかることのないよう、注意をしつつ。
城の敷地内に駆け込むように入り、王宮まで駆け足に向かった。
「お、っ・・・・・・お呼び、でしょうか?王、様・・・・・・っ」
息を整える間も惜しんで謁見の間に入り、【ハーネス王】に拝謁する。
せっかく、今日は【冬の女王】ーーユキネーーの命を受け、″雪ウサギの暮らす生息地域の地図製作″のため【ハーネスの国】のあちこちを見て回ってきたというのに。
【冬の女王】の、雪ウサギに対する情熱はこの国随一である。地図を完成させたら、給与とは別に″素敵な褒美″をツムギに取らせてくれるらしい。
よほど雪ウサギが好きなのだろう、「私の″王国″に、まずツムギを招待するからねぇ~!」と頬に両手を当て、うっとりした表情で約束されたのである。
雪ウサギの地図は、その″王国″への第一歩なのだと言う。
そこまで楽しみにされている″ユキネ様″に、まだ陽の高いうちから地図製作の途中で帰ってきたのだと知られたら・・・・・・。
早くも、頭の中で彼女への言い分を考えるツムギ。いやしかし、【ハーネス王】直々の呼び出しでは致し方ないだろう・・・・・・。いやしかし、ユキネ様の機嫌を損ねるのはーー
「うむ」
と、急なことで申し訳ないという表情をした【ハーネス王】。「実は、のう」と、頭の中は″ユキネ様″のことで手一杯なツムギに、王様はこう告げたのである。
「つい先日、【春の女王】の役目に就いたコハルのことなのだが・・・・・・」
王様の仰るところ、なんと現代【春の女王様】ーーコハルーーが、先ごろ昼食を運びにきた給仕師に対して、自分が【季節の塔】から出てくる日は二度と来ないだろうと宣言されたらしい。
その言葉の意を聞こうとした給仕師は、「うるさぁいっ!!」と【春の女王】の″魔法″で【季節の塔】から城の辺りまで吹っ飛ばされたという。
″春一番″のように、強力な風の″魔法″だったとか。
とにかく、【季節の塔】から出ないということは、この国の一大事を招きかねない。
しかしなぜ、【ハーネス王】はツムギをわざわざ呼び寄せたのか。
「実は、のう」
と、王様。【春の女王】ーーコハルーーが言うには、今日このときを以 て″王族付き身回り師″のツムギ以外の者とは一切の受け答えを交わさないと、もちろん食事類を受け付けることもしないと、自ら″娘″の様子を見に行った【ハーネス王】にそう言い放ったという。
そのため、王様はこうしてツムギを呼び寄せたわけ・・・・・・って、はあああああぁぁぁぁっ!?
「そ、それは」
頬や唇の辺りをヒクつかせ、ツムギは困惑する。「な、何仰ってるんですかあの″女王様″は!?」と思いつつ、実際には、
「私は、ど、どうすれば・・・・・・?」
と、王様にそう尋ねるしかない。
「無論ーー」
と、【ハーネス王】が答えようとしたそのときーー
バタン、と。
膝まずき拝礼するツムギの背後で、謁見の間の扉が開かれる。「お父様ぁ~!」と、広間をトコトコ駆けてくる可愛らしい女の子が二人。
【夏の王女様】と【秋の王女様】だ。
「おぉ。どうしたのだ、二人とも?」
自分の側までやってくる″娘″二人を、笑顔で迎える【ハーネス王】。「あのね、あのねー?」と、さっぱりしたボブカットのブロンドの女の子ーー【夏の王女】が、快活に口を開く。
「コハルちゃんが、『早くツムギを連れて来なさぁ~いっ!』だってさ!」
その【夏の王女】の言葉に、後ろに寄り添うようについてきた女の子ーー赤茶色の髪を肩の下まで伸ばした【秋の王女】ーーが、相づちを打つようにうんうんと頷く。さらに、
「コハルお姉ちゃん、怒ってた」
と、ツムギが不安にしかならない言葉を、さりげなく呟くのだった。
「そ、そうなのか・・・・・・」
二人の王女から悲観的な情報を告げられて、さすがの【ハーネス王】もたじろぐ。「あー、ん・・・・・・うむ。今しがた、ツムギを召し出したところである」と、王様はツムギの方に手を向けられた。
くるっ、と。
二人の王女様方が、ツムギのいることに気づき振り返る。すると二人とも、「わ、ぁ・・・・・・!」と、なぜだか嬉しそうに感嘆するのだった。
「こんちは!ツムギっ」
と【夏の王女様】が朗々と挨拶をし、
「・・・・・・お姉ちゃんから、聞いたとおり」
と【秋の王女様】がじっくりツムギを見つめてくる。そんな二人の王女様の反応に、ツムギはますます不安を高めていった。
(ちょ、【春の女王様】は一体何を言われたんだ!?)
というか、何ゆえ怒りを高めておられるのか。心の中でそう叫びつつ、しかし王様や王女様方の手前、平静を保つしかない。「では、王様・・・・・・?」と、あらためて【ハーネス王】の命令を待った。
「【季節の塔】へ」
うむ、と頷かれた王様が、「行ってもらえるか?」と命を下す。無論、ツムギに拒否権などない。
心の中で盛大に「はあああああぁぁぁぁっ!?」と叫び、しかし実際には、
「御意、に!」
と返事をするしかない。
やむない思いで王様に拝礼し、謁見の間を後にする。その広間から、城の廊下に出たところでーー
「ぅ、あ」
【冬の女王様】ーーユキネーーと、何の因果かばったり出くわしてしまった。
「む」
どうして、ここにいるの?と。言葉こそないが【冬の女王】ーーユキネーーは、そうもの問いたげな表情をしていた。雪ウサギの地図製作はどうしたのだと、言われなくても伝わってくる。「あ、えと。ユキネ様・・・・・・」とツムギがどうしたものかと口ごもっているとーー
「ユキネちゃんっ!」
あ、という声。【夏の王女様】が、ツムギと同じく謁見の間を後にするところだった。もちろん、その後ろには【秋の王女様】が寄り添うようについてきている。
「コハルお姉ちゃんの、こと」
と、【秋の王女】の手短な説明に、【冬の女王】ーーユキネーーは「む」と、表情を引き締められる。「ツムギ?」と、その言葉の矛先をツムギに向けた。
げ、っ・・・・・・。
「え、と。王様のご下命によりーー」
今から【季節の塔】に赴かなければならないのだと、彼女に説明する。さすがに【ハーネス王】直々の命令だったので、
「・・・・・・そう」
と、【冬の女王】ーーユキネーーは理解を示してくれる。これなら彼女の機嫌を損ねることはないだろうと、ツムギがホッとした、そのときーー
「怒ってたよ。コハルお姉ちゃん」
と、不意に【秋の王女】が口を開く。ツムギは「ちょーー!?」と嫌な予感がよぎりつつも、しかし王族の言葉を遮る無礼が出来るはずもなくーー
「ユキネちゃんが。ほっぺにチューしたって。この人・・・・・・えっと、ツムギお兄ぃちゃん?に。【季節の塔】で、先代【冬の女王様】に、会って聞いたんだって」
ツムギの″予感″を、最悪の形で実現させたのだった。「ああ・・・・・・」と、【冬の女王】ーーユキネーー。
「なるほど、ねぇ~」
と、得心した様子でツムギのことを見上げーー
「行ってあげたら~?ツムギお・兄・ぃ・ちゃ・んっ?」
少々、意地の悪い口調でそう言い放ってくるのだった。「え、あ。その・・・・・・?」とツムギが口ごもってしまうと、
「・・・・・・ふふ、っ」
くすくす、と間もなく悪戯めいた微笑みをこぼすのだった。
「行ってあげて」
と、今しがたの同じ言葉とは違う意味合いで、ツムギに頼むのだった。
「きっと。コハルちゃんも、不安でいっぱいだと思うから」
自分の″姉″を思いやる、″きょうだい″の眼差しがそこにはあった。
「・・・・・・はい!」
【冬の女王】ーーユキネーーの思いを、受けて。ツムギは頷き、【季節の塔】へと向かうことに決めた。
何の準備も、ない。しかし、とにかく【春の女王】ーーコハルーーのもとへ行こうと、城の廊下を歩き始めた。
「・・・・・・良いなあ。コハルちゃん」
と後ろの・・・・・・【夏の王女様】より。「アタシも、あんな【エルダー】に出会えたら良いのに」と、羨むように言い募るのである。
「問題ない。″カリン″お姉ちゃん」
と、そのまた後ろから・・・・・・【秋の王女様】より。
「【エルダー】が他の王女と同じ人では″絶対にダメ″だなんて、″王室の典範″のどこにも書いていない」
とさりげない口調で・・・・・・って、ちょ、あの子は何を言い出すのか!?
「そう。ユキネちゃんとコハルお姉ちゃんを上手く騙くらかす・・・・・・もとい、″説得″すれば、良い」
「そう、なんだ?おぉ~っ!」
その言葉に【夏の王女】ーーカリンーーも、にわかに色めき立ったようにはしゃぎ出す。「さっすが″モミジ″ちゃんっ!頭ったま良い~っ!!」と、【秋の王女】ーーモミジーーの頭を、なでなでとしたりもする。「目指せ、″第一夫人″」と、またもや【秋の王女】がさりげなくとんでもない発言をしーー
「聞こえてるわよぉ~?」
と、そんな二人に【冬の女王】ーーユキネーーが言葉を差し挟む。二人の王女様は「あ、っ!」と気がつきつつも、
「ダメ、かなぁ?」
と、弱々しくはにかむように【冬の女王】ーーユキネーーを見つめるのだった。
「・・・・・・″第一″は、私なんだから。ね?」
【冬の女王】ーーユキネーーの言葉に、今度こそツムギは「はあああああぁぁぁぁっ!?」と叫びつつ、廊下の何もないところで本当にけっつまずいた。
ちょ、ユキネ様・・・・・・お願いですから、黙ってお見送りして下さいって。
ツムギの心からの叫び声は、しかし誰に届くこともなかった。
○○○○○○○○○○
とある世界に、とある国がありました。
色とりどりの四季がめぐる王国【ハーネスの国】。そこには『春・夏・秋・冬』、それぞれの季節をつかさどる女王様がいます。 女王様たちは決められた期間、交替で【季節の塔】に住むことになっています。そうすることで、その国にその女王様の季節がおとずれるのです。
女王様たちは、笑ったり、怒ったり、時には泣いたりもしながら、毎日しっかりと自らのお役目を果たしていきます。
そんな彼女たちを支える、一人の男の子がいました。男の子は女王様たちの側で、誰よりも彼女らのために頑張りました。
この国の四季を巡らせるため、あと、この国を追い出されないために・・・・・・と、時には愚痴のようなことなども言いつつ。
しかし、やがて・・・・・・これから【ハーネスの国】を背負って立つ【季節の女王様】たちを、そっとお支えする青年に成長していきました。
成長した男の子は、【季節の女王様】たちと共に四季の巡る【ハーネスの国】を栄えさせていくことになるのですが、それは遠い先の話。
【季節の女王様】たちの【エルダー】となったツムギの奮闘は、まだまだ続くことになりそうです。
ーー(終)ーー
これにて、完結となります~♪
いやあ~、難しかった(童話っぽさとは何か・・・・この辺、もう少し詰めなきゃなと思います)
特に後半部は、時間に追われてしまった部分が多いので、冬童話2017の期日内にちゃんと書ききれなかったことが心残りでした。(後日、完成)
なかなか、自分の課題の見える期間だったと思います。今度の機会には、しっかり書ききれるように頑張りたい。。。
ここまで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました
m(_ _)m




