旅の最初は人助けを
なんで勇者って人助けをするのが決まりになっているんだろうね?むしろ俺が助けを呼びたい気分だよ。
という訳でどもどもー。チートなお姫様を負かしたら仲間になっちゃって自分の存在意義が危うくなっている気がするレオバルド・シュバルツェンです。いやぁ、旅の仲間が強いってアレだね。複雑な気持ちだね……!俺お荷物決定じゃん。
俺らは今王都から程近い小さな町に滞在している。温かなベットが無性に恋しくなったのだ。で、ここからが本題である。あのお姫様が人助けを買って出たのだ……!びっくりである。
「あのすみません、旅のお方。依頼を受けていただけませんか?」
そう俺達に声をかけてきた素朴な雰囲気を持つ少女。彼女の話を詳しく聞くとこんな感じである。
“最近洞窟のモンスターが凶暴化して街の近くをうろつくようになったので助けて欲しい”と。
ティルカ姫はそれに二つ返事で了承した。心なしか目がキラキラと輝いていた気がする。翻訳するとやっと救世主らしいことが出来るわ、であろうか。
だかしかしである。このお姫様は大事なことを忘れている。報酬の交渉を忘れているのである。コレを忘れると下手をするとタダ働きになる事もあるのだ。
それをティルカ姫に言ったら蔑むような視線を頂戴した。解せぬ。
ハルに泣きつくと、「まぁ、後でも大丈夫でしょう」と頭を撫でられた。優しいなお前。
まだ少し不満があったのでぶーたれているとお姫様のハイキックが俺の頭に直撃した。
それは見事に無駄のない蹴りでしたよ、ええ。
つくづく主人公ぽくないヘタレ主人公(笑)