お姫様はチート様
理不尽である。神様ってやつはどうしてこう理不尽という物が大好きなんだろうか。
と言う訳でどうも。大昔に活躍した英雄王に因縁つけられたレオバルド・シュバルツェンです。つかアレってもはや呪いの域じゃね?と思っても言いませんよ。国中の皆さんから白い目で見られハブられぼっちになるのがオチだからな!
大体俺みたいな残念な奴がハイスペックイケメンとルームシェアしている事からして理不尽極まりない。なんでかって?そりゃあ格差というかアレですよ、思い知るわけですね!スペックの違いという奴を!ちくしょー目から汗が出てくるぜ……。
「何現実逃避しているんですか?」
「うるせー。ハイスペックイケメンにはわかんねーよ」
俺が憂い混じりのため息をついていたらハルに話しかけられた。今は荷造り中である。そう、魔王討伐の旅の為の荷造り。意識したら増々気が重くなるばかりだ。あーやだやだ。
「レオ。いつまでも駄々を捏ねないでください」
「うわーんッ。それが今から死地へと赴く親友へかける言葉か?!」
「え?親友?」
「ひどいッ」
俺のツッコミに対する答えはあまりにも冷たかった。というか本気できょとんとするのやめようか、ハルさんや。俺のガラス製のハートがブロークンするから。大打撃。こうかはばつぐんだ。ヘタレは心が弱いものである。
「あ、そうだ。レオ、伝え忘れていたんだけど……」
「え?ハルがうっかりするなんて珍しいな。で?伝え忘れた事って?」
珍しいこともあるもんだ。だから俺はなんの危機感も持たずにハルに聞く。
「今日王様の所に行きますよ」
「へぇ。行ってらっしゃい」
近所にお出かけぐらいの軽さで告げるハルに俺はひらりと手を振る。俺……家からあんまり出たくないんだ。ダラダラの怠情な生活が将来の夢だからな!
「何を他人事みたいに送り出そうとしているんですか?レオも行くんですよ。というかレオがメインみたいなものですし」
「えーやだー。だって俺空気じゃん。むしろ、いなくてよくね?」
眉をしかめるハルに俺は頭を振る。だって前回俺途中空気だったし。未だにヘタレな俺が救世主(笑)とか有り得ないと思っている。
「あはは。面白い事を言いますね。レオ。冗談はそのくらいにした方が身の為ですよ?」
「あだだだだッ!いたいいたいッめっちゃ食い込んでる食いこんでますよー!頭が頭がー!」
にこにこと笑みを浮かべハルは俺の頭にアイアンクローを食らわせる。こいつ握力半端ない。ハルの指がギリギリと俺の頭に食い込んでいるのがよく分かる。俺は「ヒィィ!!」と情けない悲鳴と共に喚く。
ハルの目は笑っていなかった。曰く「ぐだぐだ言ってんじゃねぇぞ、オラ。さっさと行くぞ」とその目は語っていた。ハルまじ怖い。
「レオ?」
「はいィッ!すぐに支度をして参ります!! ハル・アルゼ様ッ」
ハルの温度の感じられない確認の声に俺は直立不動の見事な敬礼と共に支度する。いつもは十五分かかる支度も十秒で出来た。人間やれば出来るものである。
こうしてヘタレな俺はハルに逆らえるはずもなく、王様に再び会いに行くハメになった。
マジ理不尽。
※神様
この世界では神さま=創造主。まさかの唯一神信仰。でもレオはそこまで信心深くない。
教会とかもある。