勇者はヘタレなアイツ
今回も見切り発車でやっていきます。ぼちぼちやっていくのでよろしくお願いします。
いったい誰が予想できただろうか。
「よいか、お前はこれから救世主となり、魔王を討伐する旅に出るのだ」
WHAT?!
そんな事を俺に言うのはこの国の王様。つまり国のトップ。おいおいおい、大丈夫か?この国は。え?もしかして俺に言ってんの?マジで?
自慢じゃないが、俺のヘタレっぷりは群を抜いて突き抜けちゃうくらいヘタレだ。特技逃げ足。これを言えば察せられるはずだ。心配のあまり眩暈がしてきた。さらに言うならば、ズキズキとこめかみが痛む。
「はぁ?そこのハイスペックさんに頼めば?」
と隣の幼馴染を指さし即答した俺は悪くないはず。だって隣にいるアイツはイケメンで大抵の事はそつなくこなせるハイスペックさんですよ。さらに言うなればこの国で有名な実力派ハンター。その実力はトップクラスだ。
ヘタレに頼むよりかはマシだろう。だって世界の危機ですよ?それをザ・ヘタレ、キングオブ逃げ足たる俺に頼むのはお門違いだろう。
「いや……それがお主に頼むより他に手段がないのだ。これは古来から決められていた、言わば運命のようなものだからな」
そう重々しく俺に告げる王様。その表情は悲壮感に溢れ、とても冗談に見えない。まるでこの世の終わりを見るようなお顔だ。
え?これマジな感じ?しかも拒否不可?
俺は青ざめた顔で王様を見た。何故なら事の重大性に今更ながらに思い知ったからだ。王様は「諦めて使命を果たしてくれ、若者よ」と言わんばかりにゆっくりと頷く。やべぇ、目は口ほどにモノを言うって本当だったんだな。俺目で会話しちゃったよ。
どうやら俺は勇者(救世主)を目指す旅に出るらしい。しかもラスボス(仮)は魔王とな。
Oh……なんてこったい。
※救世主
この世界では有名な英雄譚。勇猛果敢な救世主は世界中の子供たちの憧れである。登場人物は、救世主、魔法使い(後の賢者)、剣士(後の剣王)の三人である。
彼らは実在の人物としても有名だ。
そしてこの最初の救世主は聖王国の建国主。つまり国王様のご先祖様。