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8/12

起⑺


♢♢♢♢♢


それは、間違いなく少女が石を彫って作った人形だった。

人形のはずなのに。

それは意志を持っているようであるのだ。


「そいつは…」


「………」


少女は何も答えない。

操作魔法の可能性もある。しかし、ここまで高度な動きをさせることは相当に厳しい。それに、石人形は声を発し、終いには少女の手を無理矢理飛び出していた。


まさか、命があるなんて言わないよな。

隼人は冷静に問う。

見た目には、だが。


「そいつは心があるのか?」


「………」


「なにも…言わないんだな」


少女は怯えているだけで、反応を示すことはない。それはつまり、言ってはならない、言えない事なのだろう。

ならひとつ、単刀直入に聞くしかない。


「禁忌か?」


「え…?」


反応した。つまり、これは肯定したことになるか?いや、まだ足りない。

でも、やっぱりこれは禁忌だ。

そう、音が教えてくれる。


石人形はまたも声を発する。


「マザー。ばれたなら仕方がありません」


「ええ…あなたが飛び出したのがそもそもの元凶ですがね」


「………すいません。苦しかったもので、つい」


「ばれたなら…仕方ない」


突然の迎撃態勢。なにも準備していなかった訳では無い。しかし、禁忌への動揺が、少し脳の回転を遅らせた。その一瞬、少女が魔法を発動させるのには充分な時間だった。


「質量変化…倍、倍、倍、倍、倍!」


「うおぉぉぉぉぉっ!」


石人形は質量を増してゆく。そして、3メートルを超える巨漢へと姿を変えた。


隼人も遅れながら魔法を発動する。


「ソードタイプ、カグツチ」


手を叩き、左手を軽く開くと刀の柄が存在した。それを握ると、右手の人差し指と中指を立てて並べ、刃の形を想像し、なぞりながら創造する。

その刃は火を燈した。

そのまま、隼人は守りの態勢に入っていた。


決して攻撃をする気のない、守りの為の構え。少女は刀に少し怯えと驚きの顔を見せたが、すぐに攻撃に移った。


それは一瞬だった。




次の瞬間隼人は少女の後ろをとっていた。


「…なぜ⁉︎」


少女は疑問を隠せないように呟いた。


「お前の『音』が俺に次の行動を教えてくれる」


少女は混乱する。

そして、ある場所に行き着いた。


「………まさか?」


隼人は不敵の笑みを浮かべ、言った。




『禁忌』



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