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修羅ナリ

9月に自衛隊1次試験



誰か助けて

魔法使いが放った、2本の業火が、私達に迫ってきます


このままでは、私達の立っている所に、炎が重なり‥‥‥‥



「ちょっとゴメンよ。」


「ひやぁ!」



いきなりヨシキさんに抱きかかえられ、思わず耳と尻尾が、ぶわぁっと広がってしまいました


嗚呼、ヨシキさんの甘い香りが‥‥‥‥



ゾクッ!



急に私の中の魔力が練られる感覚に、背筋が寒くなる


その練り方は、繊細で効率良く、私では全く考えられない練り方だったが、急激に魔力が無くなっていく事に恐怖した


魔法を教えてくれた、亡くなった父が言っていた〔魔力枯渇〕


命の源でもある魔法が無くなり、危険な状態に陥ること


しかし今度は、私の体内に、何かが流れ込んでくる感覚があった


それは刺激があり、どこか心地よく感じた


その何かは、私の体内に染み渡り、私の中の何かが変わるようだった



いや


変わった






時が止まった







迫り来る炎も


勝ち誇った魔法使いの動きも


何もかもが止まっている



「っ!?」



何がおきているのか全く分からず、ヨシキさんの顔を見ると、ヨシキさんが黄色いオーラに包まれていた


よく見たらそのオーラは、私も包んでいた



「さて行こうか。」



止まっている時の中、私を抱き抱えたまま、何事もないように


炎に向かい、小走りに走り出すヨシキさん


2本の炎の間を抜け、魔法使いの後ろに立った途端


ゴオゥン!



「はっは!ざまあみろ!」


「それは盛大なる死亡フラグだ。」



振り向こうとする魔法使いに、何も持っていない左腕を、ただ突き出すだけのパンチを打つヨシキさん


しかしその一撃は、魔法使いを吹き飛ばし、バウンドさせる一発だった



「あらま、結構手加減した筈なんだけどな。」



そう言って吹き飛ばした魔法使いに近づいていきます



「良かった良かった、死んでいないな。」



鼻から血を流し、ピクピクと痙攣している魔法使いに、安心していました



「お前は今回の首謀者として、そろそろ来る騎士団に拘束してもらうからな。」


「‥‥‥いっ‥‥たい‥‥‥お前‥‥‥‥は。」


「俺?ただの人間だよ。」


「化‥‥‥け物」


「勝手にほざいていろ。

俺は俺だからな。」










気を失った敵魔法使いを拘束放置し、広場に向かった俺は、ずっと抱えていたフェイを下ろし、怪我人の手当を行った


怪我人には、ファースト・エイドキッドに入っている回復剤を注射で投与し、傷口にガーゼを当てて包帯を巻く、簡単で30分で完治し、個数∞という素晴らしい物だったが、注射の時点で一悶着発生



ここの世界の回復と言えば、回復薬や回復魔法が当たり前であり、注射という未知の回復剤に怯え、暴れまわる問題が発生してしまった



なんとか、手伝ってくれたフェイと共に説得し、けが人全員に投与ができた



死人は、最初の大規模魔法で崩れた屋敷から、町長と自警団2名の死体が発見された



残念ながら俺はライフルマンを選択しており、メディックであれば、蘇生キッドが使えていた


これも運命なんだろう





「腹減った。」



気がついたら朝日が昇っており、久々に日光を浴びた



「ならちょうど良いときに来たみたいですわ。」



後ろからバスケットにパンや果物を入れた、犬耳の女性がやって来た



「何か御用ですか?」


「よろしければお食べ下さい。」



にこやかに笑う女性


誰かに似ているな



「良いんですか?」


「はい、町と娘を救ってくれた感謝の印です。」


「娘?」


「フェイの事です。」


「フェイの母親でしたか。」



耳の形や目元辺りが似ているけど‥‥‥‥‥子持ちとは思えないな‥‥‥‥‥‥フェイの姉と言っても通じるかもしれない



「娘さんは?」


「昨日はいろいろあったので、今は自宅で寝ています。」


「‥‥‥‥申し訳ありませんでした。

娘さんに良くない所をお見せしてしまって。」


「いいえ、あの子も15になりますし、養成学校をでたら独立しますから、経験になりますから。」



フェイも言ってたな、養成学校に行くと


いったいどんな所なんだ?



「ふふ、やっぱり娘の言っていたとおりですね。」


「?」


「あなたは‥‥‥‥‥甘くて‥‥‥心地良い匂いがするんですよ。」


「匂い?」



そう言われて、自分の匂いを嗅いでみると、汗と硝煙の臭いしかしなかった



「ちょっとごめんなさいね。」


「な!?」



いきなり抱きつき、首もとの匂いを嗅ぐフェイの母親


人妻とはいえ、美人に抱きつかれて匂い嗅がれるのは、心臓に悪い



「あっあの、おトイレは何処でしょうか!?」


「そこの建物の入って右手にありますよ。」


「失礼します!」



フェイの母親から逃げるようにして、俺はトイレに向かった



「ふふ、若いって良いわね。」








トイレで用を足した《疚しいことはしていない》俺は、手を洗っている時、ふと目の前に鏡がある事に気がついた



「この世界にも鏡があるん‥‥‥‥‥‥なあ、イージス。」


〈何でしょうかMaster〉


「鏡に写っている若い17ぐらいの男は誰だ?」


〈Masterですよ〉



鏡に写っていたのは、イケメンになった、若かれし頃の自分だった



「誰これ。」


〈Masterです〉

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