第一異世界人発見!
私の朝起きてからの日課は、お水を汲むことから始まります
このお水で朝食のお皿を洗ったり
洗濯物をしたり
お花のお水を取り替えたり等に使うので、重要な仕事です
「おはようございまーす!
お水汲んで来るねー!」
朝食を作っているお母さんに挨拶し、勝手口から井戸に向かいます
後もう少しすれば、大通りの店も開き、活気づいていつもの光景が見れるはず
井戸のある路地に入ろうとした時、ふとある匂いがしました
その匂いは、今まで嗅いだ事のない、果物のような甘い香り
誰かがお菓子でも焼いているのかな?
「‥‥‥え‥‥?」
井戸の側まで来ると、誰かが座り込んでいました
「だっ!?大丈夫ですか!?」
急いで近寄ってみると、鼻につく匂いが強くなった
その甘い匂いは、座り込んでいる人から香るが、不思議と嫌ではなかった
その人は、白の上下でできた服にサンダルという、不思議な格好をしていた
もっと驚いたのは、漆黒の髪の色だった
漆黒の黒髪は本来は、この地域では全く見られないはず
「うぅ‥‥‥‥。」
声がしたので意識を取り戻したようなので、顔を伺おうと顔を覗き込むと、目があった
その目は鋭く、髪と同じ漆黒だが、吸い込まれるの様な輝きを持っていた
「あっ‥‥‥」
思わず声が漏れる
その人は、ゆっくりと笑うと、瞳を閉じた
頬が赤くなるのが自分でも分かり、尻尾も振っていた
「何とかしないとっ!」
頭の上に付いている耳がピクピクと動く
私は、自警団の本部である町長のお屋敷に走った
夢を見た気がする
スウェット上下と健康サンダルで夜の砂漠を歩き、浴びる様に水を飲んだ後、ふと目を開けると目の前に、赤毛の犬耳少女がいた夢だ
‥‥‥‥‥誰か精神病院教えてくんねぇ?
「‥‥‥‥‥。」
そう思った所で、俺は睡眠から覚醒した
目を覚ますと目の前には、自宅の見慣れた天井‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ではなく、見慣れない煉瓦造りの天井
オーケー
夢じゃなかった
堅いベッドから起き上がり、部屋を見渡すと右側に鉄製の頑丈そうな扉、左側に鉄格子が埋め込んだ長方形の穴が目に入った
格子越しの光景は、緑溢れる中庭らしく、赤い実の付いた木と青々した芝生が見えた
こんな砂漠地帯に緑が生えるんだ
ブゥー、ブゥー
不意にズボン(こんな牢屋らしき所に入れられたにも関わらず、服装そのまま)からバイブ音が聴こえ、慌てて〈読み込み中〉だったiphonを取り出す
〈読み込み終了致しました〉
iphonには、そう文字が打ち込まれていた
〈CALL/???〉
いきなり、コール画面に移り驚いたが、冷静にiphonを耳に当てる
『はいはーい☆
お電話ありがとーございます☆』
「‥‥‥‥電話切って良いか?」
『駄目で~す☆』
なんか元気ハツラツな女性の声が牢屋に響き渡る
何故だ?
無性にいらいらする
『いきなり電話を切ろうなんて~☆
だ・め・だ・ぞ☆』
「ちっ!」
『舌打ち入りました~☆
どうもありがとうございまーす☆』
「‥‥‥‥おまえは誰だ?」
気持ちを落ち着かせて、相手を確認する事にした
『私はそーですねー、運営と名乗っておきます☆』
「俺をどうしたんだ!」
『ん~地球から除外しました☆』
除外‥だと!?
『いやですね~☆
そんなに殺気を出さないで下さいよ~☆
ちゃんと理由もあるんですよ☆』
この運営と名乗る事をまとめると
1、世の中全ての生物に魔力が存在する
2、それぞれの世界には魔力の容量がある
3、地球ではパンク寸前まで魔力が集まっていた
4、そこで魔力の強い奴を地球から除外した
「それが俺か。」
『そうなんです~☆
けれどあなた以外にも実は4人いるんですよ~☆』
「で、除外した俺達はどうしろと?」
『あら~☆
あんまり怒らないんですね☆
運営感激☆』
「早く答えてくれないか?
この端末を叩きつけたくて仕方がない。」
『ん~☆
何もしなくても良いですよ?』
「は?」
『だって☆
あなた邪魔だから地球から出て行って☆
ついでにコレもして☆
って可哀想じゃないですか?』
「妥当だな。」
『だ・か・ら!
好きに暮らして下さい☆
今まで貴方がプレイ中に購入した武装はモチロン!
貴方にぴったりな魔法を使えるようにいたしました!』
「‥‥‥‥ついでに聞いておくが、俺の魔力はどのくらいだ?」
『え?
この‘ターナル’と言う世界のエリート王宮魔術師を10万人集めたぐらいですかね☆』
「チート御馳走様。」
『いえいえ☆
詳しくはその端末が教えてくれますから☆
失礼しまーす☆』
「え?っちょ!」
〈通話が終了したしました〉
「F○ck!」
俺はやるせない気持ちから、力一杯iphonを床に叩きつける
iphonは何回かバウンドしたのち、スピンして止まった
ブゥーブゥー
スピンしたiphonからまたバイブ音が流れる
「今度は何だ!」
〈義鬼様、この世界についてのご説明を致したいのですが宜しいですか?〉
あの女と思い、電話に出てみたが、今度は感情の全く籠もっていない声だった
「あんたは?」
〈申し訳ありませんでした、私はこの端末に登載されたアンドロイドです
本日より義鬼様のサポートをさせて頂きます〉
「あの女の言っていた、詳しい事を教えてくれるんだな?」
〈あの女とは運営の事ですね
そういう事になります〉
「そうか、悪かったな。」
〈?何故謝るのですか?〉
「いや、おもいっきり床に叩きつけたから。」
〈大丈夫です
この端末は物理干渉から魔法干渉まで全て攻撃を無力化いたします〉
「ほう。」
〈例え核爆発でも無力化します〉
「‥‥‥持ち主の俺は、くたばるけどな。」
核 ダメ 絶対ダメ
〈それではご説明を〉
「その前にあんたの名前は?」
〈名前ですか?
ありません、義鬼様に仕える為に生まれたばかりですので〉
「へー、なんか忍びないな。」
〈それでは、私に名前をつけてくれませんか?〉
「え?」
〈義鬼様が名付け親になって下さい〉
「えーあーうー‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥イージス。」
〈イージスですか。〉
「安易な考えで悪かった。
嫌だったら別のを考えるが?」
〈名前の由来は何ですか?〉
「‥‥‥‥‥どんな攻撃にも耐える不破の存在と聞いて、真っ先に思いついたが、厨二っぽかったから‥‥‥‥。」
〈いえ、私のような存在に名付けて頂けただけでも光栄です〉
「‥‥‥‥私のような存在って言うな。」
〈何故ですか?〉
「お前は今後の俺をサポートするために生まれたのだろう?
なら、お前は生きている。
生きる者が己を蔑むんじゃねぇ。
分かったか?」
〈‥‥‥‥分かりました、My master〉
「よろしく頼むぜ?イージス。」
名前決めは大変・・・・・
皆はどうやって決めるんだ?