イリアの生い立ちその二
{さて、話の続きをする前にアイテム一個でイリアの体質が治るなら12歳になるまで放って置いたんだ?という疑問が出てくるのではないかと思い先に解説を入れておくと、別に育児放棄したとか貧乏だったとかいうことではなく単に魔力増幅系のアイテムが市場に出回る事が極めて稀であるということに尽きます。(家族関係はとても良好なので誤解なきよう)
そもそも魔力増幅アイテムの入手にはダンジョンでのレアドロップか高レベル・高スキルの鍛冶師、彫金師などが作成する以外に方法がないため、その価値は安いものでも数十万ギルから数百万ギルにも及ぶ。また、宮廷魔導士の戦力強化のために国が高値で買い取ってくれるので、売れるか分からないオークションに出品されることもほぼ無い。}
~イリアの寝室~
泣き疲れて寝てしまい起きた時には翌日のお昼過ぎになっていた。そういえばまだ中を見ていなかったと思い出し小包を開けてみた。すると中から長さ5㎝幅3㎝位の楕円形の宝玉が埋め込まれたペンダントと銀で出来たチェーンが出てきた。
「きれい・・・。」
イリアがそうつぶやくと宝玉が揺れ紫から緑そして青や赤へとその輝きを変えていった。暫くその光景に見とれていると、コンコンッとドアをノックする音が聞こえた。
「イリア、起きているかい?」
「はい」と返事をしつつドアを開けるとそこにはお父さんがいました。お父さんも泣いたのか目の辺りが赤く腫れていた。
(多分私も相当酷い顔になってるんだろうな)
「お母さんは?」
「お母さんは大丈夫。一晩中一緒に泣いていたけど冒険者を続けていく以上いつかはって覚悟していたから、それがこんなに早いものだとは思っていなかったけど・・・イリアの前で情けない恰好は出来ないからね。さあ、まずは顔を洗ってお昼にしよう。」
「うん、わかった。」
昼食後、二人は私に向かって真剣な顔で話を切り出した。
「それで昨日ゲントさん(そういえば名前聞いてなかった)から話を聞いた限り生存は難しいけれど、生死の確認はまだ取れていないということでギルドでは半年の間行方不明という事になったんだけど、私たちはその間に探索の依頼を出し、メンバーを募ってそのダンジョンに潜ろうと思う。例えモンスターにやられたとしてもちゃんと骨を拾ってきちんと埋葬したいと考えている。」
「遠い所にあるから、その間この家には帰って来れなくなると思うの。だから引っ越して向こうに部屋を借りようと思うのだけれど、今まで以上に家を空ける事が多くなってイリアに寂しい思いをさせてしまうでしょう。そこでまずイリアはどうしたいかあなたのきもちを聞いてからにしようと二人で話し合って決めたの。」
「すぐに決める必要はないよ。じっくり考えて決めたことなら僕たちはそれに応えよう。」
私の頭の中では色々な考えがグルグルと回って混乱しながら、返事も疎か部屋へと戻りました。
(お兄ちゃんはまだ生きているかもしれない。怪我をして助けを待っているのかも、だったら早く助けにいかないと!いや、死んだんだ。そしてこれから探しに行くお父さんとお母さんもお兄ちゃんと同じ目にあって死んじゃうんだ。一人ぼっちはいやだ。さみしい。こわい。お兄ちゃんにあいたい・・・・・・・・・・)
そんな堂々巡りな考えに陥ってる時、ふと視界の端に紙切れを見つけた。多分小包の中に入っていて開ける時に気付かず落としてしまったんだろう。
2枚ある手紙にはこう書かれていた。
「イリアへ。
今日やっとイリアが元気になれるペンダントを手に入れたよ。と言ってもパーティーのみんなで取った物だから売値分稼いでから僕が買うってことになってすぐには渡せないけど頑張るから楽しみに待っていてね。父さんと母さんに僕は元気でやっているから心配しないでって伝えて。
遠くからでも君を想っているよ。兄より」
「この手紙は私たちがお兄さんに助けられた後、彼の部屋から見つけたものだ。君宛てだったので同封させてもらった。それと彼が最後に家族に伝えてくれと頼まれた事を記す。
「ちょっと遅くなるけど、必ず帰るから。イリアが元気になったら一緒に冒険しよう。」
ゲント」
私はまた泣きました。昨日で涙は枯れ果てたと思ったのに次から次へと流れていった。それから私はペンダントをかけ、ある決意をして両親の元へ向かった。
「お父さん、お母さん。私冒険者になる!!」
取り敢えずこれで冒頭は終了です。
この後の事は一章のあらすじにでも簡単に書いておきます。