明けの道標
イリアに想いを寄せるライバル?登場
彼が今後ちょい役で終わるか、はたまた物語に食い込んで来るのか。それは作者にも分からない。
〜ラルフ〜
俺の名前はラルフ。半年前成人になったのを機に冒険者になり早くもランクEになった。
とはいっても、ランクB『明けの道標』と言う後進の育成に力を入れているパーティーと運良く知り合い、冒険者のノウハウを教わりながら効率良くレベルアップ出来たからなのだが。
ともあれ俺のランクアップのお祝いにと新しい武器を見繕って貰い、そろそろ昼飯でも食べようかと話しながら歩いていると、見憶えのある銀髪の少女が歩いているのが見えた。
「もしかしてお前イリアか?!」
「えっと、すみません。どちら様でしたでしょうか?」
俺の事を憶えて無いのは凹んだ。まあ憶えていたとしても、当時俺は素直じゃなくイリアの気を引こうと意地悪ばかりしていたので悪い印象しか残っていないだろう。
「イリアの事知ってるみたいだけど君は一体誰なんだ?」
イリアの隣にいた黒髪の男が尋ねてきた。
(誰だこいつ。イリアと親しげに話しやがって!なんかムカつく)
「俺はラルフ。イリアとは子供の頃何度か遊んだ事がある。イリアと仲良さそうだけどあんたこそ一体誰なんだ!」
「俺の名前はユーゴ。イリアの召喚獣だ。」
(パ、パートナーだと?!まさかイリアと恋仲なのか!イリアも顔を赤らめて満更でもないみたいな反応しやがって、ユーゴ・・・こいつにだけは負けられん!)
〜ユーゴ〜
(何か睨まれてるな俺。敵視されるような事した覚えはないんだけどな。)
するとラルフのパーティーメンバーだろう人達が近付いてきた。
「その子はラルフの知り合いか?俺は『明けの道標』リーダーのカルロスと言う者だ。よろしく。そうだ、良かったら旧交を深める為にもこれから食事でもどうかい?誘ったからには奢るよ。」
色々冒険者について聞きたい事もあるので、是非も無く近くの大衆食堂へ入る事にした。
「まずは自己紹介だね。俺はカルロス、レベル36のナイトでランス使いだ。よろしく」
カルロスさんは金髪の長身で細身なのだが、全身を覆う金属鎧といかにもリーダー然とした雰囲気で全く頼りなさは見られない。
「俺はアドルフ。レベル34の剣士で武器は大剣だ。」
アドルフさんは深茶色の髪の筋骨隆々とした人で睨みつけるような鋭い目線が印象的だ。
「僕はミリアム。同じく34の剣士で武器は槍だよ。」
ミリアムさんは明るい茶髪でヒョロリとした長身で相手に警戒心を与えない雰囲気を持ったフレンドリーな人みたいだ。
「ランスと槍は違うものなのですか?」
「そうだね。カルロスの持っているランスは片手に盾を持って片手で突く防御に特化した槍で、僕のはいわゆるスピアというもので両手で持ち、攻撃する事に特化した穂先にのみ刃が付いてる槍の事と区別しているね。」
(成る程、分かり易いように武器の形状で呼び方を変えている訳か。)
「拙者はゴーキ。遥か東から流れ着いた侍でレベルは37武器は太刀を使っている。」
ゴーキさんは武士に似ているが鎧は皆と同じ西洋風の鎧だし見た目も外人がコスプレをしてるような感じがする。何より赤髪だし。
「私の名前はイリアと言います。先程冒険者になったばかりのレベル6魔法使いです。」
「俺はユーゴ。レベル1の魔法戦士だ。」
『人型の召喚獣っていうのはかなり珍しいみたいだし余計なトラブルを起こさない用に黙っておこう。』
『了解です。ここは駆け出し同士でパーティーを組んだという事にしておきましょう。』
「俺はラルフ、レベル12の戦士で武器はシミターだ。」
ラルフは俺に対して勝ち誇った顔をしてきた。大方レベル1の駆け出しと侮っているのだろうから無視する事にした。
「冒険者になりたてか〜。俺達は後進の育成を目的にしたパーティーなんだ。良かったら一緒に組まないか、とは言っても1PT6人までって決まりがあるから1人だけなんだが。」
「そうだよイリア。こんなレベル1なんかと組むより安全だしレベルなんてすぐ上がるぞ。」
「ユーゴさんはレベル1だけど私の恩人でとっても強くて優しいんだから!!何も知らないのに悪く言わないで!!!・・・それとカルロスさん、折角の申し出ですがお断りします。私はユーゴさんのパートナーですから。」
「ははは、嫌われたなラルフ。イリアさんも気にしないで、今のはラルフが悪いし勧誘も無理強いするつもりは無いから。ほらラルフ、二人に謝って。」
「くっ・・・!」
ラルフは店を飛び出し、走り去ってしまった。
「まったく・・・重ね重ねうちのメンバーが失礼をしてすまない。」
「それはいいけど放って置いていいのか?」
「何、頭を冷やしたら戻って来るだろう。そしたら説教だけどね。さあ、気を取り直して食事にしよう。」
「二人はもうギルドの依頼は受けたのかな?」
「いえ、まずは拠点を決めようと思っていましてまだクエストボードも見てません。」
「それだったらまずは薬草の採取を受けるといいよ。あれは何時でも受注出来るし他のクエストと並行して達成出来るからね。」
「まあ、冒険者なら誰でも通る道だな。他には街の周囲に生息するラージアントや水辺に生息するリバークラブの討伐何かがお勧めだ。」
さすが後進の育成を目的にしてるだけあって皆世話好きで、親切にあれこれと冒険者に必要な最低限の事も教えて頂いた。
「色々教えて頂きありがとうございました。」
「いやいや、君みたいな可愛い子と食事出来たんだからお釣りが来るくらいだよ。って言うと彼氏君に怒られちゃうかな。」
「リーダーの冗談はさておき、何か困った事があれば何時でも僕達を頼ってね。力を貸すよ。」
「またな、お二人さん。そうそう、これから宿探すならギルドの裏通りにある『渡り鳥の止まり木』って酒場にするといい。朝晩食事つきなのに値段もそこそこ安いからお勧めだ。」
「ありがとうございます。早速行ってみます。」
「それじゃ、また会おう。さようなら。」
『明けの道標』の人達と別れ曲がり角を過ぎた所で俺のMPが切れた。
『宿が決まったら早いとこレベル上げて一日位留まれるようにしたいな。』
『そうですね。オススメのクエストも教えて頂いた事ですし、宿を取ったらまたギルドへ向かいましょう。』
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「いらっしゃい。酒場はまだやってないけど宿泊希望かい?」
「はい、二人部屋を探しているのですが空きはありますか?」
「大丈夫空いてるよ。料金は朝晩2食付きで1日5000ギル前払いだけどいいかい?」
「はい。とりあえず10日分お願いします。」
「はいよ、これが部屋の鍵だ。水は裏の井戸から自分で汲む事になってる。食事は鍵を出してくれれば酒場で食べる事が出来る。外出する際は鍵を預けて行っておくれ。」
銀貨50枚をポーチから取り出すイリア、どうやら魔法鞄はポピュラーなアイテムらしい。
俺達が取った部屋は大体12畳位の広さにベッドが2つ並んでいる他、机やクローゼットも置かれていて中々居心地の良い部屋だった。
『よし、部屋も取れたしクエスト受けにいくか』
『はい!』
中々名前が思い付かず人名辞書で探しました。
候補は色々あったのですが、アタッカー3人の名前の頭文字を合わせるとアミーゴになるという遊び心をいれて何とかしぼることが出来ました。
とはいえ、キャラにあった名前つけるの意外と難しいのでこれからも新キャラの名前募集中です。
とりあえず宿屋の女将さんかな?名前無くても支障無いし、このまま無名で通してもいいけど名前決まったら何かイベント考えます。