恋の始まり
時間は少し戻り女神が消えた所から
~イリア~
急に二人きりになり気まずくなりそうになったところで、この辺では珍しい黒髪黒目を持った彼は自己紹介を始めました。
(ユーゴさんていうんだ。見ず知らずの私を助けてくれた上に、私のせいで二度と元の世界に帰れなくなったのに嫌な顔一つせず気遣ってくれる。なんて優しくて格好いいんだろう。)
私は幼い頃近所の男の子に意地悪されて以来、少し男嫌いになっていたのですが何故か彼に対しては嫌な気持ちになりませんでした。
(そっか。ユーゴさんてすごく強いのに優しくてお兄ちゃんにすごくよく似ているんだ。)
(ユーゴお兄ちゃん。なんちゃって///)
意識すると急に恥ずかしさが込み上げてきて顔が赤くなったので、誤魔化す様に早口で自己紹介を終えました。
「そうだね、ここじゃ落ち着いて話せそうにないし、村へ向かいながらこれからどうするか決めようか。」
私は速くなる鼓動を悟られない様にする為急いで立ち上がりました。すると背中からビリリッッっと何かが破ける音がして上着の大部分がストンと床に落ちました。
「「!!!」」
(き、きゃああああああああああああああ!!!!!!)
声にならない悲鳴を上げ私はその場でうずくまった。
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暫くして落ち着くまで
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(は、はだかみられた?セーフ?どっちにしろ恥ずかし過ぎる!!もうお嫁にいけない!!!)
何とか気を取り直し彼が貸してくれたローブに身を包みつつ、今は手紙を読んで落ち込んでいる彼を見つめ想いを馳せる。
(ユーゴさんも動揺してたみたいだけど、ローブを渡してきた時にはもう冷静になってたみたいだし、私みたいな胸も無くて見た目も子供っぽい子には興味ないのかな?でも、最初のうちは意識してたし裸見た責任取ってくださいっていったら意外といけるかも?)
(でも、出会って間もないのにいきなりそんな事言ったら嫌われちゃうかも。)
(じゃなくて!!そもそもなんで告白する流れになってるの私!)
頭をブンブン振って思い浮かんでくる考えを振り払っていると、落ち込んでいた彼が気付き声をかけてきた。
「大丈夫?まだどこか痛いとこある?」
心配したユーゴさんの顔がすぐ目の前まで近づいてきた。それだけで私の顔は真っ赤になって心臓はドキドキと早鐘を打った。
(私ユーゴさんの事好きになっちゃったみたい。)
「だ、大丈夫です。問題ありません。さ、早く支度して村へ向かいましょう。」
私は急いで部屋の隅に転がったいたマンドラゴラの葉を入れた鞄を広い上げ出口へ向かおうとしましたが、
「あー。さっきの爆発で塞がっちゃってるな。」
「そんなっ、それじゃ一体どうやって出れば」
「そうだなー。・・・よしいけるかな。ちょっと失礼。」
「え?ちょっ?!」
ユーゴさんはいきなり私を横抱きに抱え上げました。
「このまま天井まで一気にジャンプするからしっかりつかまっててくれ。」
「は、はい。」
一跳びで3mはあるだろう高さを飛び越える間、私は恥ずかしいのと、思わぬ憧れのお姫様抱っこに顔がにやけそうになるのを彼にみられないように、彼の胸に顔をうずめて隠しました。
これ書き終わるまでに2回データ飛んでその度に一から書き直し;;もしかしたら痴態をさらされたくないイリアが妨害してきたのでしょうか。