今、思うこと。
「ちょっと!どこ行くの!」
私は祐樹に手を引っ張られながらショッピングセンターを歩き回っていた。
私は長距離を歩いたりしたことがない。
あるのは学校までの距離で・・・・・・。
そのせいかヘトヘトだった。
「服屋」
「服屋?」
さっきギリギリでヘリコプターから逃げてきたのに祐樹はなにも焦らず私をショッピングセンターへ連れてきた。
ホントに何を考えているのかわからない。
「ここ、好きな服選べ。」
「へ?」
「嫌か?」
どうやら祐樹の目的地の服屋さんについたみたいだ。
でも、好きな服選べって言われてもどうすればいいのかわからない。
「・・・急には無理か。」
もう、祐樹の行動についていけない。
初めて見るものとか初めて触れるものとかがいっぱいだ。
怖かったりする。不安になったりする。
でも、助けてくれる人がそばにいるから・・・。
安心できる・・・・・少しだけだけど。
「美代さんいる?」
「はい、店長なら奥におられますが・・・知り合いですか?」
「うん、甥っ子。」
「・・・甥っ子さんですか?」
「甥っ子だよ?お願いだから案内して?」
「は、はい。」
今思い出したけど、祐樹は金持ちのお家のお坊ちゃんだったんだ。
このお店の店長さんの甥っ子ってことにはびっくりだけど・・・・・。
「美佑?大丈夫か?」
「うん、大丈夫。えっと、祐樹のお家って・・・。」
「ああ、服を中心に扱ってる企業。」
やっぱり、確かお母さんはモデルだったはず・・・・・・。
「美佑?行くぞ。」
「!うん・・・・。」
私は環境にも慣れきれないままどこかわからない店の奥に連れて行かれた。
「祐ちゃんじゃない!元気にしてた?」
「ああ、元気にしてたよ。あのさ・・・・。」
「あら!その子彼女?」
「・・・・美代さん、今日はいろいろと急ぎの用事できたの。もちろんデートとかじゃない!」
「あら・・・そうなの?残念。でも否定はしないのねぇ、おばさんちょっと期待したのよ?」
「もう、いいから早く美佑の服選んであげて?」
「あら?そういうこと?もっと早く言ってよ~おばさん勘違いして――――。」
「美代さん!早く!」
「・・・え、ああはいはいそんな焦らないでよ~。」
「わかってる。」
なんかわからないけど、この人に私の服を選んでもらうことになった。
「美佑?とりあえず一着選んで貰うけどいい?」
「・・・・・・うん。」
ちょっと時間が過ぎて美代さんっていう人が戻ってきた。
「美佑ちゃん?ちょっとこっちにおいで。」
「は、はい。」
「祐ちゃんの好きな服の種類とかは知ってるからその好みとかに合わせて選んで見たわ。
あなた、監禁?されてたのね。祐ちゃんいつお家に行ってもいないから仕方なく視させてもらったの。
ごめんなさいね。今日は祐ちゃんはデートじゃないっていうけど初めてのデートだと思ってかわいく
してなさい。祐ちゃんを落としちゃう気でいきなさいよ!がんばってね。」
「・・・・・・はい。」
私はその美代さんという人に着替えさせてもらいながら話していた。
でも1つ気になったことがある。あの、『視させてもらった』という言葉だ。
この人は祐樹のおばさんにあたる人、なにかあるんじゃないかと思った。
「すいません、一つお聞きしていいですか?」
「いいわよ?」
「あの、『視させてもらった』ってどういうこと・・・・ですか?」
「ああ、そのことね。祐樹が吸血鬼の末裔ってこと知ってるわよね?」
「はい。」
「私は吸血姫なのよ。でね、吸血鬼・吸血姫ってだけじゃ人の気持ち・過去とかは見えないんだけど蒼鳥
の末裔と魔龍目鳥の末裔でもある場合・・・どうも人の気持ちとかを視ることができるみたいなの。」
「・・・・ということは。」
「そう、私も祐ちゃんも人の気持ち・過去とかが自然と視えたりするの。
まあ、私の場合は視たいって思わないと視えないんだけど、どうも祐ちゃんは違うみたいでね。
いつでも視えちゃうし、ほかの能力もそうだけど使うと体力がすごい減るみたいなの。」
「・・・・・。」
「本当かどうかはわからないけど、本気で戦うとしたら・・・持っても15分ね。」
「・・・・そんな。」
知らなかった。祐樹の事・・・・・・。
吸血鬼と青竜の他にも能力を持ってたなんて。
「美佑ちゃん?大丈夫よ、心配しなくても!あの子は強い子だからね。」
「へ?」
「あの子はどんなつらいことも乗り越えてきたの、一人でね。
だから、あの子は強い。わかった?」
「・・・はい。」
「じゃあ、鏡を見て?」
「!」
びっくりした。
私はきれいなドレスみたいな服を着てて・・・。
「美佑ちゃん?ずっとあの子のそばにいてあげてね。」
「はい。」
「美佑ちゃん?その服は私からのプレゼント。それじゃあがんばってね。」
「はい!」
祐樹もあの美代さんも・・・きっとつらい目に何度もあったんだろう。
能力を持ってるってせいで。
祐樹の傷を私が埋められるならなんでもしよう・・・・・そう私は今思った。
そして、すべてが解決したら美代さんにも幸せになってもらおう。
そう、今思った。
読んでいただきありがとうございました!