理解したくないこと
「優葉、外せ」
鬼の声が響く。
それは、冷たく見下した様な声で・・・。
でも、紫色に輝き聞きすぎると酔ってしまうようなあの人の声とは違い・・・。
紺色で暗く、飲み込まれてしまいそうになる様な声。
「は、はい・・・」
私の足と手の拘束具がどんどん外されていく。
『カチカチッ』
狂いそうになる自我を保つのに一生懸命だった私は気づいたときにはもう、自由だった。
・・・・いや、それは間違い、だろう。
もう1つあるのだ、私の体の鎖が。
鬼という名の父という名の拘束具が・・・。
「美佑、出て来い」
「・・・はい」
嗚呼もうこの鬼の言うとおりになるしかないのか。
私は、ただの玩具なのか。
道具なのか・・・。
「美佑」
気づくと私の動きは完全に停止していた。
牢のドアのすぐ前にいるのに、止まっていた。
「す、すいません・・・お父様」
私は牢のドアから廊下へ出た。
日本庭園風の庭が廊下に出るとよく目に入ってきた。
全身に感じる風が私の体を不安にさせる。
「お父様、これから私は・・・」
「美佑、外にあいつが来ている」
私は言葉を失った。
あいつ?
裕樹のこと・・・?
「み、美佑さ・・・」
私は優葉の声を封じるかのように隣を歩く優葉に手を横に伸ばした。
「っすいません」
優葉の声が聞こえる。
「美佑、そいつを殺したいか?」
ど、どういうことだろう。
理解できない、理解したくなんかない。
こいつは・・・・。
私に能力があるのなら使いたい、けれど使い方を知らないから。
この鬼の問いにどう答えたらいいかもあまり案が浮かばない。
「美佑?」
「は、はい・・・お父様、私は・・・・」
「殺したくないのだろう?」
「・・・」
「じゃあ、自分の言葉であいつを押し返せ」
「な・・・」
私は何も言えなかった。
裕樹が何のためにここに来たのかさえも理解したくない私には何も言えるはずがなかった。
評価・感想等よろしくお願いします。
ここから1回ほど入ったことのある()の裕樹君の内心がたまに入ってきます。
これからもよろしくお願いします。




